余裕?無謀?「Jリーグに2000億円」の皮算用 試合中継で巨額投資を回収できるのか

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Jリーグへの巨額投資を発表し、にわかに注目を集めるダ・ゾーン。ジェームズ・ラシュトンCEOが描く勝算とは?
スポーツに特化したライブ中継サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」(英パフォームグループが展開)が8月23日、日本でサービスを開始した。130以上のスポーツ、年間6000試合以上が楽しめるサービスで、料金は月額1750円(税抜き)。テレビやスマートフォン、パソコンなどのデバイスで利用できる。
同社は今年7月、Jリーグと2017年からの10年間、合計2000億円に及ぶ巨額の放映権契約を結んだ。ダ・ゾーンのサービスをどのように広げていくのか。そして、Jリーグに対する巨額投資を回収できる見込みはあるのか。ダ・ゾーン事業のCEOを務めるジェームズ・ラシュトン氏を直撃した。

 

――サービスを構想したのはいつ頃からか。

有料ストリーミングサービスは8~9年前から考えており、いつかやろうと夢を持っていた。8~9年前はスマートフォンが普及し始めたころ。市場も成熟していなかったし、会社としても長期的なビジネスに投資できる規模ではなかった。ダ・ゾーンに関しては、18カ月くらい前から準備してきた。

――多種多様なコンテンツが見られるが、放映権はどのように獲得していったのか。

交渉は大変だが、ダ・ゾーンのメンバーはスポーツメディア業界に長く勤め、さまざまなライツホルダー(放送権者)と深い関係を持っている。スポーツメディアに特化したビジネスを展開していることが重要だった。

今回は今まで関係のなかったライツホルダー、たとえば日本のプロ野球の横浜DeNAベイスターズや広島東洋カープと交渉したが、「ファンを最優先に考え、プレミアムなスポーツをいつでもどこでも提供する」と説明することで、納得し受け入れてもらった。交渉は素早くまとまった。

規模が小さいスポーツも提供していく

――それぞれの権利関係者も、新しいプラットフォームにコンテンツを提供したい考えがあったのか。

そのとおりだ。われわれはソニーやパナソニック、東芝といった日本のスマートテレビのメーカーとパートナーシップを組んでいる。それだけではなく、ゲーム機でもスマホでもタブレットでもみられる。テレビとほかのデバイスのメリットを併せ持ったサービスであることを説明すると、喜んでもらえた。

ダ・ゾーンはスポーツの見方を変えようとは思っていない。今までどおり、大画面のテレビで見る人は、ソファでビールを飲みながら楽しめばいい。通勤中に見たいという人はそれでもいい。いつでもどこでも見られるのがポイントだ。

スマホをはじめ、さまざまな端末で利用できる

――F1やビリヤード、フィッシングもある。ここまで網羅する理由は?

そこが強みだ。従来のテレビではないので、スケジュールの制限がなく、幅広いスポーツの試合をすべて放送できる。われわれが編集してどれを放送するか選ぶ必要はなく、それをファンたちに任せるわけだ。

コンテンツには自信がある。誰もが見たがるJリーグやF1だけでなく、ファンたちの声を聞き、ダーツやボーリング、フィッシングなど、少人数が興味を持つスポーツも放送する。スポーツは情熱だ。フィッシングやビリヤードのファンも、サッカーファンに負けない情熱がある。みんなが好きなスポーツを提供していきたい。

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