ホテル戦争の仕掛人? 森トラスト次の一手 森トラストの後継者、伊達美和子氏に聞く
――それが12月に品川にオープンする東京マリオットホテル(御殿山ガーデン ホテルラフォーレ東京のリブランド=改装によるブランド変更)なわけですね。でも、なぜ最近、外資系の、特にラグジュアリーホテルと呼ばれる高級ブランドが日本に増えてきたのですか?
2000年から外資系の進出が増えてきましたね。1990年代に新御三家(フォーシーズンズホテル椿山荘→現・ホテル椿山荘東京、パークハイアット東京、ウェスティンホテル東京)までで、その後はしばらく外資系のオープンがなかった。
海外に目を向けると、世界の各都市にあらゆるチェーンがあるのに、日本にはない。どうしてなのかと素朴な疑問で調べると、やはり東京に出たいというニーズは当時からあったんですね。ただ、不動産の地価が高すぎるので、ラグジュアリー(高級)ホテルができる環境にならない。
もうひとつは、そうした外資との契約が、何と言うか、バランスが悪かったんです。海外でホテル投資をした日本企業も、あまりポジティブな結果にならなかった。なので、ほかの日本のデベロッパーやホテル業者も、みなさん外資と組むことを敬遠していました。
日本企業に不利な契約だった
――具体的には、どういったところがバランスが悪かったのですか?
たとえば仮にホテルが赤字だったとしても、一定の運営手数料は必ず支払わなければいけなかったんです。ただ一方で、その頃の海外の動きとして、日本の(不動産)オーナーに対してだけでなく、オペレーター(運営者)側が、もっとオーナーサイドに立った契約に見直さなければならない、という動きが出てきているのを当社ではわかっていました。
そこで、国際チェーンに対してきちんとこちらの意向を伝えることで、対等な契約ができると思い、2000年代前半は外資ホテルの東京誘致を積極的に旗揚げしてやっていました。
東京にはある程度のブランドがそろってきたので、結果として今、京都や大阪など関西へ進出先が伸びていったり、沖縄などのリゾート地への展開も増えています。一方、東京は結果的に各チェーンの次のブランドがだんだん展開し始めている。スモールラグジュアリーであったり、ライフスタイルホテルなどコンセプト重視のものだったり。
ソウルなどにはすでに出ているのに、東京にまだ出てきていないブランドもたくさんあります。
京橋プロジェクトは新ブランド進出か
――森トラストでは東京駅に近い京橋地区の再開発で、ホテルを誘致する予定がありますね。ビジネス街のど真ん中で、ホテルや商業施設を含むオフィスビル開発、また、森トラストだけに、今度はどんな外資系ホテルを誘致するのか、不動産・ホテル業界からかなり高い関心が集まっていますね。
京橋は宿泊特化型。きわめて立地条件のいいところに、客室自体は20平方メートルくらいで、いわゆるビジネスホテルの少し大きいようなタイプになりますが、その中で快適に過ごせるホテルを作ろうと思っています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら