オリンパス、“背水の陣”で挑むデジカメ改革 笹宏行社長に聞く

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――今後のデジカメ事業の収益柱としているミラーレスも、各社の競争環境が激化しています。

私たちにはミラーレスで成功体験があります。国内、シンガポール、タイなど、付加価値提案型でターゲットを絞ってマーケティングを展開した地域はうまくいっています。反面、これまでコンパクトデジカメで展開してきた大量販売型から抜けられなかった欧米では、大きな赤字を出してしまいました。成功している地域の販売手法をいかに欧米で展開していくことができるかが重要だと考えています。

――具体的にはどういうことでしょうか。

これまで海外の販売手法は、量販店で店頭の場所を確保し商品をおいて売れるのを待つだけでした。これに対して、ミラーレスや「タフ」では、専門店を中心に文化や楽しみ方を提案していく販売方法を展開しています。

日本の量販店には丁寧に説明してくれる店員がたくさんいますが、海外の量販店には店員がほとんどいません。実際に何度も海外の量販店に足を運びましたが、カメラ売り場に客がほとんどいなくて閑古鳥が鳴いているような状況でした。

海外でも専門店に行けば、商品の説明だけでなく、プリンティング(写真の現像)サービスも充実しているし、関連のアクセサリー関係もそろっています。この分野での販売に力を入れていかないと、ミラーレスでも厳しいでしょう。

ミラーレスも数量を追わない

――ミラーレスも数量を追うのではなく、付加価値を重視するのでしょうか。

ミラーレス市場全体が伸びている中で、当社のミラーレス販売台数は一昨年が61万台、昨年が59万台と増えていません。しかし、力を入れる地域をある程度限定し、実売価格も2万円くらい上げています。一眼レフに強みを持つ会社は一眼レフとの兼ね合いでミラーレスの価格を下げるという戦略を取らざるをえませんが、われわれはそうではありません。国内では利益を約17%も伸ばしています。

――交換レンズの販売については。

ミラーレスの販売増にともなって市販向けの交換レンズは増えます。また、ソニーなど他社へのOEM(相手先ブランドによる生産)供給にも力を入れていきます。

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