ジーユーのダイレクト事業部でリーダーを務める萩原将人氏は、アプリを、ジーユーを好きになってもらうための「ブランディングツール」と位置づける。そのためファッション診断の「おしゃれメーカー」などのコンテンツを提供し、コミュニケーションを強化している。
「自分の好きな“友だち”のように思ってもらえるアプリにしたかった。企業側から一方的に情報を発信しても支持されない。企業の自己都合ではいけない。そこに気を遣い続けてきた結果が、利用率の高さに表れている」(萩原氏)。
企業から一方的にクーポンや情報を配信するようなO2Oでは、メール通知も解除され、アプリも削除されてしまう。友だちからのメールなら受け取るが、嫌いな人からのは受け取りたくないのとまったく同じ考えだ。
ここにきてO2Oの事例は増えてきたが、その多くは単発のイベントや実証実験だ。ジーユーの特徴のひとつに、毎月連続してO2Oキャンペーンを実施し続けていることが挙げられる。参加者は数十万人に上るという。
「史上最強のいたずら班」
こうしたキャンペーンは、萩原氏とジーユーのマーケテイング部PRチームリーダーの長谷太介氏の2人がメインで企画している。ジーユー社内では、「史上最強のいたずら班」と呼ばれているという。会社公認の“やんちゃ”コンビだ。
広報担当の長谷氏が、企画のネタ出し段階から積極的に参加している点は異色。筆者がこれまで取材してきた企業にはみられない特徴だ。
「マスコミに響く企画と、消費者にウケるものは、実はほとんど同じ。それなら出来上がった企画をマスコミに流すのではなく、メディア受けする企画を一緒に作ったほうが早い。消費者にヒットし、マスコミにも注目されるものを、お互い情報交換してブラッシュアップしていく」。長谷氏はそれが当然のことのように話す。
ジーユーは、O2Oキャンペーンを毎月継続して実施することで、アプリの会員を増やしている。会員獲得のために、広告を打つことは一切しない。
「顧客に喜んでもらえる驚きや感動の体験を、頻繁に届けたい。ジーユーのアプリを持っていると毎月楽しいことがあると思ってほしい。ひとつの企画が終わって次というのではなく、つねに先の企画を考えて、動き続ける」(萩原氏)。具体的に、ここ数カ月のキャンペーンを見てみよう。
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