梅佳代にしか撮れない、愛すべき日常 奇才アラーキーも認めた才能

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誰を撮るにしても基本的にズームレンズは使わない。どんどん近づいていって撮る。望遠レンズはずるい感じがしていやなのだそうだ。

「じいちゃんは、撮っとるうちは死なん」

笑える写真、不思議な写真が続く中、『じいちゃんさま』は少し趣が異なる。能登で一緒に暮らしていた祖父を10数年前から撮り続けているシリーズだ。祖母や妹、飼い犬が登場し、家族それぞれの変化が記録されていく。「じいちゃんは撮っとるうちは死なん」という梅佳代のまなざしが感じられる。

『じいちゃんさま』より 2007 © KAYO UME
妹の成人式のときに撮影。祖父は90代半ばを過ぎた

「単なる家族アルバムとは違って、ここでも鋭い観察眼が光っている。目に入れても痛くない孫娘の前だからできること、できる表情がある」。孫娘とおじいちゃんという関係があってこその作品だと福士さんは言う。

シリーズは2008年に写真集にまとめられたが、展示室にはその後の写真もたくさん並んでいる。「彼女はテーマやコンセプトを決めて、それに沿って写真を撮って写真集にするというタイプではない。生活の一部として撮りためてきたものが、振り返ると一つのシリーズになっている。写真は寝かせておくとよくなると言いますが、蓄積されることによってコンテクストが見えてくるんです」

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