梅佳代にしか撮れない、愛すべき日常 奇才アラーキーも認めた才能

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妄想全開の女子中学生

 

『女子中学生』より 2000-2001 © KAYO UME
女子中学生が約5メートルの高さのプリントになって展示室に登場。これはシリーズの中で最もおとなしい一枚

セーラー服の女の子たちを撮った『女子中学生』も専門学校時代のシリーズだ。親しくなった近所の女子中学生を寮の自室に招き、アイスを食べたり、ごはんを食べたりしながら撮影した。展示室に並ぶ他のカットは、頭にパンツをかぶっていたり、股間に大根をはさんでいたり、大変なことになっている。

「女の子だけの世界で、性への憧れや妄想がうずまいている。展示室に入ってきたおじさんたちはバツが悪そうにしていて、5分以上いる人はまずいない。逆に女性は一点一点ゆっくり見ていますね」と福士さん。

『女子中学生』シリーズはアラーキーこと荒木経惟さんに認められ、梅佳代は大いに勇気づけられたという。中学生の背後に写っている梅佳代の部屋の様子にも注目したい。

“写真界の芥川賞”受賞作

梅佳代は2006年に最初の写真集『うめめ』を出版し、写真界の芥川賞といわれる木村伊兵衛写真賞を受賞した。表紙を飾ったのが次の作品だ。

『うめめ』より 2004 © KAYO UME
大事そうにお菓子を抱えている女の子が仰向けに倒れていったところをとらえた

女の子が仰向けになって何かを見つめている。腕に抱えた「じゃがりこ」は全部こぼれてしまっているのに。「数秒後にはお菓子がこぼれたことに気付いてエーンと泣き出すことが想像できます。ウメさんは子供を撮るとピカイチ。子供はこういうもの、かわいいでしょう、と押し付ける感覚はまったくなく、子供と同じ目線、同類意識で撮っている」。

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