最後に注意したいのは、早期からの活動で”就活マニュアル漬け”になってしまうことである。実は型にはまったような受け答えをする学生を企業は非常に嫌う。面接でそうしたマニュアル発言が続くと、面接官は飽き飽きしてしまう。面接はある程度の慣れが必要だが、それはマニュアルを覚えこんで武装して臨むことではない。自分らしさが出せない面接は、採用する側から見るともどかしいし、学生自身にとっても不幸である。
「面接マニュアル」といったような本を読んではいけないということはないが、せいぜい1~2冊にとどめ、基礎知識をつかむ程度にしておいたほうがいい。
「就職の軸」は走りながら考えよ
よく「自分なりの就職の軸を作れ」と言われる。自分はなぜ働くのか、どのようなポリシーをもって企業を選択するのか、どのような仕事やキャリアを通じて自己実現を図っていくかなど、自分の中で腹落ちする就活、企業選びができるようにしろと言われる。そうしないと、基準がないままにやみくもに企業を受けて、たまたま出会った企業から内定が出て、納得感のない就職をしてしまうからだと言う。
そうした正論に異論をはさむつもりはない。とはいえ、中には頭でっかちになって、企業の中で働いたこともないのに、凝り固まったキャリアプランを構築する人がいる。だが、そうした人は就職してそのとおりに行かないと、すぐ辞めたり、仕事に身が入らないお荷物社員になってしまったりするケースも見られる。
就職の軸は、頭の中だけで考えるのでなく、できるだけ多くの企業で働く人たちと出会い、その中で「こういう働き方もいいな」「こういう働き方には共感できない」「自分なら工夫してもっとこうするのに」と考えて、走りながら自然に自分の方向性が見えてくるのが理想だ。出会いが人生を作っていく、と言うと言い過ぎかもしれないが、就職後は企業という組織の中で働いて自分らしさを出していくことになる。そうであれば、軸の形成も、一緒に働く相手との出会いを通じてするべきだろう。答えは自分の中だけにあるのではない。
それでも、実際、社会人になると違ったものが見えてくるし、転職することもある。それでまったく問題はない。最初に入った企業がすべてではない。だから、最初に入る企業を決める就活が人生のすべてを決めるわけではなく、自分の価値が決まるわけでもない。それくらいのゆとりをもって、多くの企業の人と出会うことを勧めたい。
いつから企業の人たちに出会えばいいかって? 今でしょ!
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