世界中の「ガリ勉」たちが集結した結果

トップスクールが実践する極めて合理的な選抜の方法(後編)

日本の大学院入試のほうが公平?

アメリカの選抜を経験するにつけ、日本の大学院入試はなんてうまくできているのだろうと思った。たとえば僕が留学前に、たった3カ月ではあったが在籍していた東大大学院の場合には、1次試験にちゃんと経済学の試験がある。

それだけで、あってないような指標を基に無理な比較を断行する、という苦労なく、客観的な指標で選抜を行うことが可能になる。

GREのようにみんなが満点を取るような試験ではないから、ちゃんと情報量もある。選考委員の主観が入る余地が少ないから公平性が高いようにも思われる(もちろん、ペーパーテストが本当に公平で客観的な制度なのかはそんなに明らかなことではないけれども)。

なぜアメリカのトップスクールは強いか

このように問題だらけに思える選考を経てできた陣容であるにもかかわらず、アメリカの経済学大学院、少なくともいわゆるトップスクールの学生のパフォーマンスは圧倒的に高い。いったいなぜだろうか?

いろいろな理由が考えられるのだが、その一つとしてここで特に挙げたいのは、単純に応募者の母集団の大きさだ。たとえば日本で一番の名門とされる東大の場合は日本全国から応募を募る。

これに対して、スタンフォードにはそれこそ世界中からの応募が集まる。(非常に大雑把に)世界人口を70億人、日本の人口を1億3000万人とすると、単純計算で、その母集団には50倍以上の差がある。

もちろん世界中の国から同じように学生が集まるわけではないが、この数字の差は圧倒的だろう。仮に僕の実感のとおり、選考方法に多少の問題があるとしても、デキる学生を集めるという目標の下では、それも「細かいこと」にすぎないのかもしれない(選抜の公平性は、また別の重要課題だが……)。

そのつもりでアメリカの選考方法を見てみると、今度は一転して、「実に理にかなっている」と思えてくる。共通の選抜試験を(ほとんど)しないのは、世界中どこからの応募であっても受け入れるために、そのほうが便利だからなのではないか。

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