ドミニカで“日本式野球”を布教する男 広島カープのアカデミーを直撃取材

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フェリシアーノの指導はメンタルだけでなく、メニューも日本式だ。ドミニカにあるサンディエゴ・パドレスのアカデミーでは全体練習が2時間半なのに対し、カープアカデミーでは午前中から4時間、夕方に2時間行われる。午前練習の最後に待っているのは、ハードな中・長距離走、筋力トレーニングだ。

「走ることで体が強くなる。体力が増えれば、もっといいボールを投げられるようになる」

厳しい練習のおかげ

メジャーでは週の限られた日数にしかブルペンに入らず、球数も30〜40球が一般的だが、カープアカデミーは毎日約70球を投げ込む。入団間もないドミニカ人選手は不平をこぼすものの、2~3週間で慣れてくるという。下半身の使い方から体重移動、腕の振り方まで、フォームを修正するのもカープアカデミーでは当たり前だ。

(撮影:龍フェルケル)

合理的な投げ方を身に付けることで、スピードやコントロールが改善されていく。全体的にドミニカ人選手は腕の関節が固いため、鉄アレイを持たせて上下・左右に運動させることで、柔らかくするメニューも繰り返される。

そうした努力が実を結び、2012年12月、ワシントン・ナショナルズを解雇されてカープアカデミーにやって来たブライアン・ガブリエルは、140キロメートルだったストレートの平均球速が144〜150キロメートルにアップした。あこがれのアンディ・ペティット(ニューヨーク・ヤンキース)のようにきれいなフォームからキレのあるボールを投げる左腕投手は、厳しい練習のおかげで夢を取り戻すことができた。

「2カ月間、ここのプログラムに集中したことで、上達することができた。心からいい投手になりたいと思っている。それには、もっとコントロールの精度を上げなければならない。日本の野球は3Aのレベルと同じくらいなんだろ? そこで上達すれば、メジャーリーグに行くことができる」

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