グーグル「純正」の新スマホが残念すぎる理由 Pixelには、たった一つの特徴しかない!

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

マイクロソフトがハードウェアの追加や改良、アイディアの実装を伴う製品を、基本ソフトとともに提供しているように、グーグルにももっと消費者の手のひら、指先に近い部分からユーザー体験を整えて欲しいと思っていた期待は裏切られた。

Google Homeがホームアシスタンスサービスへの出入り口であるように、Pixelはグーグルのスマートフォン向けサービスへつながる窓だ。デバイスごとにつながるサービスは異なるが、そこには”ジェネリックな”ハードウェアが介在するのみ。その一方で、奔流から外れた製品を開発するリスクが大きいのは前述の通り。イノベーションのイニシアティブは誰が執るのだろう。

少し視点を変えよう。

もうひとつ同イベントで感じたのは、日本市場に対する興味がかなり小さくなっているのではないか、ということだ。Androidプラットフォーム全体に視野を広げてみても、日本市場に寄り添う形でAndroidおよび付随するサービスを展開することが難しくなってきているからだ。

これは、よく見かける、”日本だけガラパゴス”という文脈ではない。どんな国にも、国ごとに異なる事情があり、どこまで深いレベルかは別にしてローカライズのプロセスは必要だ。日本は市場として一定以上の規模があり、アーリーアダプターが多く、さらに多くの優秀な技術者を抱えるメーカーが多数存在し、電機製品を開発する上で重要な地域と判断されていた。

もはや日本市場は視界の外

"ガラパゴス"と揶揄されてはいたが、ガラパゴスであったとしても、そこには海外メーカーやプラットフォーマーが学ぶべき場があったとも言える。Androidの場合、日本メーカーとの関係が深かったアンディ・ルービン氏が開発を指揮していたこともあるが、Android端末黎明期における日本の貢献度は大きかった。

しかし、これはもう昔のことだ。中心軸であるグローバルモデルで狙う仕様との乖離が大きければ、日本向けの開発を取り込むことは非効率的な作業になってしまう。Androidスマートフォンは、その進化の過程において日本のメーカーや市場と密接な関係を保っていたが、パートナーとなるメーカーがほとんどなくなってしまった現在、グーグルの視野に日本は入っていないのではないだろうか。

Google Assistantは現時点で日本語をサポートしていない(2016年中にはサポートと言われているが……)。アップルのSiriはもちろん、マイクロソフトのCortanaも日本語に対応している中、グーグルの姿勢は対照的だ。

必ずしも質問内容の認知精度や音声認識だけが問題というわけではない。アシスタンスサービスを機能させるには、各国ごとアシスタンス(アドバイス)を出せるくらいには、情報が連動して参照できておかねばならない。Google Nowの際にも同じことを痛感させられたが、グーグルにとっての日本市場は”頭数に入らない程度”のものなのだろうか。

次ページ国ごとの事情に沿った開発が重要に
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事