「いきなり!ステーキ」が初値下げをしたワケ 主力商品をグラムあたり0.5円値下げ

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「値上げをするときはするけれど、その代わり、仕入れ値が下がれば、正直に価格を下げるというスタンスを徹底し、お客様との信頼関係を大切にしたいと思っています」(川野氏)

また今回の値下げとともに、同チェーンでは10月1日から31日までの1カ月間「円高還元値下げキャンペーン」を展開している。キャンペーンの内容は、食べた肉のグラム数がそのままポイントとなる「肉マイレージカード」のカード発行料108円が無料となるほか、肉マネーをチャージした際のボーナスが3倍になるというものだ。利用したことのない人には少々わかりにくいが、同カードはメンバーカードとプリペイドカードの両方の機能を有するカードで、通常は3000円チャージすることで1%のボーナスが付加される。1万円以上なら3%だ。キャンペーン中はこれが3倍になる。

目的は「値下げの周知を図り、来店を促進するため」(川野氏)で、値下げとキャンペーンの効果としては、「売り上げで最低5%、できれば15%アップできればよいと考えている」という。

「立ったままステーキを食べる」という型破りなスタイルで、オープン以来2年目は都心を中心に29店舗開店、2015年からは地方に飛び出し、47店舗を開店と、急成長を遂げてきた「いきなり!ステーキ」。8月2日の恵比寿店オープンで100店舗を達成し、さらに10月に4店舗を開店予定だ。そして、年月を経て成長した同チェーンではそろそろ、変化の時期を迎えているようだ。

「いきなり!ステーキのスタイルはすでに浸透したので、これからは裾野の拡大を狙っていきたい」(川野氏)

具体的には3つのポイントが挙げられる。

1.「立ち食い」を緩和する

同チェーンでは今年から、八重洲、銀座といった超都心にある店は別として、テーブル席を増やしてきている。店の広さによって違うが、だいたいカウンター席とテーブル席が半々ぐらいだそうだ。

「いきなり!ステーキのビジネスモデルでは、20坪で2000万円売り上げがなければ利益が出ないのが本来。でも、家賃が安い場所では1000万円でも利益が出る。出店数が増えた今、トータルで見れば、テーブル席を作り回転数を多少下げる店を増やすことができる」(川野氏)

ただし、テーブル席を作ったことによる回転率への影響はさほどなかったようだ。通常のカウンター席であれば30分の在店時間が、10分延びて40分になったぐらい。座れるようになっても、話し込んだり、長い時間をかけてお酒を飲んだり、というスタイルはやはりいきなり!ステーキにはそぐわないようだ。

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