「いきなり!ステーキ」が初値下げをしたワケ 主力商品をグラムあたり0.5円値下げ

拡大
縮小

「なぜなら、皆さん肉を食べに来るからなんです。逆に言えば、ほかにすることがない」(川野氏)

なお、前述のビジネスモデルにおける原価率については、チェーンの立ち上げ後2年半を経過した現在では、55%ほどに低下してきているという。このように立ち食いの緩和が利益に影響することはさほどないようだ。また、子供からお年寄りまでが利用できるようになったことも大きい。何しろ、身長が低くカウンターに届かない子供客が、ビールケースに乗って食べる姿も見られるらしい。

「また、統計を取っているわけではありませんが、お年寄りのお客様はやはり目立つようになったという印象を得ています。お年寄りも、若者に負けないぐらいよく食べますよ」(川野氏)

「高齢者はあっさりしたものが好き」というイメージも、もはや時代にそぐわないものになっている。高齢者の健康を考えるうえで、現在大きな課題となっているのがロコモティブシンドローム。いつまでも元気に歩けるよう、健康な筋肉や骨を維持するためには、良質なタンパク質の摂取(と運動)が重要である。そのため今は高齢者の間でも「肉=ヘルシー」という価値観が形成されてきているのだ。

なおこうした高齢者の増加を受け、7月からは肉マイレージカードのシニアカードも用意している。喜ばれているのが、行列ができている場合でも、優先入店させてもらえる特典だそうだ。

2.地方都市でフードコートに出店

愛知県のイオンモール常滑店

地方都市においても、「いきなり!ステーキ」は大当たりしている。2015年12月にはイオンモール常滑店(愛知県)をオープン。10カ月目の現在でも「月間売り上げ3000万円以上の状態が続いている」(川野氏)という。

なぜこのように好調なのだろうか。ブランド力もあるが、フードコートタイプであることも大きな理由となっている。同チェーンがフードコートに初めて出店したのは、2014年12月の越谷レイクタウン店。「客単価2000円以上の店がフードコートで勝負できるのか」と社内でも意見が割れたというが、開店してみると、行列ができるほどの盛況となった。

当時はカウンター席しかない店が大半だったが、フードコート内の店舗は当然、テーブルに座って食べることができる。また、都心の店舗では長い行列に並ばないと入れないところも多いが、フードコートなら入店のためだけに待つ必要がない。このような理由で、初のフードコート店はファミリーや高齢者を中心に大繁盛した。この成功が、「立ち食い緩和」につながっていったと言える。

次ページフードコートの利点もある
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT