分配をどうするか、経営方針が重要
中小企業というと、独自の高技術を擁するメーカーを思い浮かべる人が多いが、高技術があるから年収が高くなるというものでもない。というのは、ランキングをみると非メーカーが中心という事実からも認識しておいたほうがよい。
給与を決定づけるのは、技術力や業績というよりも、労働者への分配をどうするかという経営方針の要素が大きい。
特に中堅・中小企業の場合、経営を支配する親会社や大株主の存在を無視できない。同じグループ内の企業は人事・給与政策なども似通っていて、「中堅・中小企業版」のランキング上位企業をみても、大手企業、とりわけ待遇のよい大手企業が親会社や筆頭株主になっている例がみられる。
12位の平和不動産は三菱地所、13位ダイビルは商船三井がそれぞれ筆頭株主だ。商船三井が11%出資する2位大株主である東京汽船も、8位と上位に入っている。
親を上回る年収の子会社も
一般的に子会社の待遇は親会社より劣るというのが通例だ。しかし、中には親会社と同等あるいは上回る年収を得ている会社がある。
たとえば、9位の大同スペシャルメタル。特殊鋼最大手の大同特殊鋼と米SMCの折半合弁で、ニッケル合金を販売する未上場企業だ。平均年齢が47歳と高いことを割り引いて考えなければいけないが、932万円で見事トップ10入り。親会社の大同特殊鋼の837万円(平均年齢39歳)を上回った。
46位のJSPは三菱ガス化学が42%を保有する同社の持分法適用会社で、樹脂発泡製品専業メーカーだ。北米向けの自動車搭載部材を主力とする。海外中心に増強投資も進めており、成長が続いている。こちらも三菱ガス化学の760万円をわずかながら上回った。
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