北海道新幹線、利用者倍増で意外な落とし穴 「嬉しい誤算」だが地元には課題も浮上

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きじひき高原からのパノラマ

気づくと、北海道新幹線の線路が眼下で大きな弧を描いている。無料で使える望遠鏡でのぞくと、5kmほどの距離に位置する新函館北斗駅や、新幹線車両基地が見えた。一眼レフの広角レンズには収まりきらず、スマートフォンのカメラのパノラマ撮影機能を使ってようやく、この光景を1枚の画像に収めた。しかし、雄大かつ箱庭的な光景は再現のしようがない。

「同時に見えると想像もしなかったもの」が、同じ視界に入る……この立地には、頭と心がざわざわするような刺激を受けた。下界ですでに実現している催しや対話の場所を、この高原に移すだけで、想像力や創造力が広がり、新しい気づきが得られそうだ。

「ここまで喜んでいただけるとは。ただ、展望台までは路線バスがなく、タクシーやレンタカー、マイカーで来るしかない。ここでいろいろな企画も立ててみたいんですが、まだまだ手が回りきらないようです」と知人が言葉を掛けてきた。

事実、この高原は知名度がまだ低く、交通手段も限られる。観光スポットとして育てるにせよ、何らかの営みの場として育てるにせよ、まだまだ時間とおカネ、労力がいりそうだ。北斗市は人口約4万7000人。函館市をはじめ近隣市町村との連携、外部のファンや支援者づくりなどを通じて、マンパワーをどう確保していくかが最大の課題かもしれない。

木古内「道の駅」は来訪者40万人

木古内町も開業日以降、1度も訪問できずにいたが、8月中旬のある日、各地での所用を済ませた夕刻に立ち寄ることができた。函館市や北斗市、木古内町は、JR函館本線と旧江差線の第三セクター「道南いさりび鉄道」で結ばれているが、接続には多くの改善の余地があることを実感できた。

例えば、木古内駅でいさりび鉄道から北海道新幹線へ乗り継ごうとしたら、いさりび鉄道の到着1分前に、東京行き「はやぶさ」が発車してしまう例が。また、木古内付近では閑散としていた1両編成の車内が、函館へ近づくにつれて猛烈に混雑する場面も目の当たりにした。限られた車両をやりくりしてコストを下げざるを得ない第三セクターの苦境が思いやられた。

駅前に建つ道の駅「みそぎの郷 きこない」は、今年1月のオープン以来、大きな話題を呼んできた。予想を大きく上回る利用者が詰めかけ、8月末には40万人に達した。1日平均で約1700人が訪れた計算だ。盛況に対応する形で、7~8月は午前9時から午後6時だった営業時間を、午後7時まで延長した。また、軽食の提供やレジ対応に手が回らなくなったため、8月初めには急きょ、コンテナを利用した売り場を増設するに至った。

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