北海道新幹線、利用者倍増で意外な落とし穴 「嬉しい誤算」だが地元には課題も浮上

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7カ月半で40万人が訪れた道の駅きこない

建物に入ったのは閉店1時間ほど前で、さすがに客足は落ち着いていたが、「あれもこれも品切れだ」と驚く人たちの声が耳に入ってきた。久しぶりに会った観光コンシェルジュ・浅見尚資さんは「連日、平日もお客さまが途切れなくて……」と相変わらずの笑顔を浮かべた。

ただ、多忙を極める中で、観光コンシェルジュ本来の役割である「地域情報や観光資源のバージョンアップ」が追いついているか、少し気掛かりだった。秋から冬にかけての利用がどう推移するのか、道の駅の運用がどう深化していくのか、少なくとも1年の周期の中で、見極めていく必要があるだろう。

そもそも、木古内町と道の駅をめぐっては、より深い問いが潜んでいる。新幹線開業に備えて開設した道の駅の盛況は、地元にとっては大きな「開業効果」と位置付けられよう。だが、その状況に、肝心の新幹線木古内駅はどの程度、貢献しているのか。木古内駅からの乗車人数は、開業後14日間の平均で170人だったが、その後の数字は公表されておらず、実態をとらえにくい。

「道の駅」の賑わい波及に課題

もちろん、大きくみれば、道の駅を訪れる来訪者の何割かは函館市から周遊してきた人々である可能性が高い。また、後で触れるように、新幹線開業を契機として、道南へ向かう旅客のボリューム自体が増えているとみられる。

新幹線の「効果」は、ともすれば区間や最寄り駅の利用者数だけを指標に論じられがちだが、道南地域や木古内町のような場合は、どのような文脈で考えればよいのか。今後の動向を注視しながら、論点を整理していく必要があるだろう。

また、道の駅の喧噪が、敷地の外へ波及していないことを不安視する声も道南で聞いた。開業から半年余り、現在はまだ、道の駅へ向かう人の流れができたこと自体を喜ぶべき段階かもしれない。だが、そこで立ち止まる訳にはいかない。道の駅を拠点に、人や物、そして情報のネットワークが広がっていけば、経済的な恩恵だけでなく、人口減少に対応したさまざまな組織や工夫を生み出せる可能性がある。

とはいえ、道の駅から周辺地域、さらには道南や青森県側への回路をどう開いていくか。木古内町は人口約4400人、連携する近隣9町を合わせても4万5000人弱と、北斗市と同等の人口規模しかない。地元では、「開業対応に動いている人が限られている」という指摘もある。ここでも、キーワードは「マンパワー」のようだ。

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