JR東海・東日本、「新型」新幹線はこう変わる 2020年メドに量産、JR東とは方向性に違い

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浜松工場に留置されたN700A(撮影:尾形文繁)

「車両の下のスペースが空く。その場所の使い方をどうするか、これから知恵を絞る」

JR東海の柘植康英社長は今年3月のインタビューにおいて、「現在開発中の次期新幹線はどのようなものになるか」という質問に対してこう答えた。

2015年6月、JR東海は新幹線の変圧器、コンバータ、インバーター、モーターなどの駆動システムに次世代半導体である炭化ケイ素(SiC)素子を採用、駆動システムの小型軽量化が可能になったと発表していた。これによって、車両の機器配置の制約が緩和され、設計の自由度が向上する。柘植社長は、「床下スペースの使い方が次期新幹線の鍵を握る」と示唆したのだ。

狙いは車両の「標準化」

そして今年6月24日、東海道・山陽新幹線の次期モデル「N700S」の概要が明かされた。2018年3月までに16両編成の確認試験車を製造し、走行試験を経て2020年度をメドに量産車を投入するというものだ。

N700Sの特徴として、まずATCとブレーキシステムの改良による地震時のブレーキ距離短縮、台車振動検知システムの機能向上が挙げられている。だが、最大の特徴は、柘植社長の言う「床下の使い方」にある。

駆動システムの小型化で空いた床下スペースをどう使うか。スピードアップや車内の快適性向上に使うという選択肢もあった。だが、JR東海の下した決断は、車両の「標準化」だった。

東海道新幹線N700系は16両で1編成となる。中間車両は外側だけ見ているとどれも同じに見えるが、実は床下機器の配置は車両ごとに異なる。変圧器の有無、コンバータの有無などによって、16両の車両は8種類に分けられるのだ。

そこで新型のN700Sは、小型化された床下機器の再配置によって4種類にシンプル化した。これにより、「基本設計を変更することなく、8両、12両といったさまざまな編成構成に対応可能」とJR東海の担当者は言う。

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