JR東海・東日本、「新型」新幹線はこう変わる 2020年メドに量産、JR東とは方向性に違い

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JR東海が念頭に置いているのは海外展開だ。たとえば、JR東海の700系をベースに開発された台湾新幹線700Tは12両編成。また、N700系の国際仕様であるN700-Iは8両編成である。台湾新幹線の置き換えや将来の海外新規導入の際、N700Sの基本設計を大きく変更せずに海外向けの列車を開発できるので開発費用も開発に要する時間も節約できる。

なお、4種類で構成されるのであれば4両編成の新幹線が登場してもおかしくはない。この点について「理論的には4両編成からになるが、パンタグラフなどほかの機器との条件次第になるので現実的には難しいかもしれない」(JR東海)という。

 また、国内では山陽新幹線や九州新幹線で6両編成、8両編成といった列車が走る。JR東海は「ほかのJRさんの話なので」と、多くを語らないが、JR西日本やJR九州が短編成の列車として採用する可能性もあるだろう。急勾配対応などの独自処置も必要になろうが、自社で新たに短編成の列車を開発するよりは安上がりなはずだ。

全席のコンセント設置が実現

利用者にとっては、待望の全席コンセント設置がようやく実現する。北陸新幹線E7系、北海道新幹線H5系では一足先に実現しているが、JR東海はかつてN700系の全席コンセント設置ができない理由について、「電気容量が足りなくなるおそれがある」としていた。ただ、今回の新型車両は、「電気設備の大幅な小型軽量化により、全席にコンセントを設置できる電源容量を確保できるようになった」という。

ただし、Wi-Fiがつながりにくいという課題は残されている。1秒間に通信できるデータ量が制限されており、「高速の回線速度を必要とする動画やデータの閲覧には不適」(JR東海)という。量産車が投入される2020年ごろまでには、なんとか解決策を見つけてもらいたいものだ。

N700Sの先頭形状。N700系のイメージを踏襲

N700Sは先頭形状も改良してこれまでの「エアロダブルウィング型」から新たに「デュアルスプリームウィング型」を採用。これによりトンネル突入時の騒音や走行抵抗の低減化が図られるという。ただ、新たな先頭形状は、一見するだけでは今までと変わり映えしない印象だ。現在とは違う配色を施すだけでも印象はがらりと変わるが、デザインについては、むしろ変化を拒んでいるようにも感じる。

最高速度は現行の時速285キロに据え置き、むしろ車両を「標準化」。汎用性を高めるとともにブレーキ性能、環境性能、乗り心地などを改善させた。N700Sに派手さはないが、安全、安定、快適な交通システムの役割に特化しているともいえる。

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