寝台夜行列車は、こうすれば再生・活躍できる 需要がないのが廃止の理由ではなかった

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東京と九州を結んでいたブルートレイン「富士・はやぶさ」(写真:自真 / PIXTA)

2016年3月のダイヤ改正で寝台特急「カシオペア」が廃止され、現在は「サンライズ瀬戸・出雲」しか、定期運行される寝台夜行列車は存在しない。寝台夜行列車が廃止される要因として、新幹線の延伸や車両の老朽化、規制緩和の進展による格安高速バスやLCC(格安航空)の誕生が挙げられる。

「北斗星」「トワイライトエクスプレス」は、車両の老朽化を理由に廃止されたが、“スイート”“ロイヤル”を中心とした個室寝台は、寝台券が取りづらい人気列車であったことから、寝台夜行列車に対する潜在的な需要が存在することは確かである。今後、寝台夜行列車が復活し、活躍するには、高速バス、航空機、新幹線、フェリーでは真似ができないサービスを実施して、他の輸送モードと完全に差別化を図らなければならない。そのキーワードとして、「個室寝台」「食堂車」「シャワールームや設備」「ロビーカー」が挙げられる。

フェリーとは客層が違う

フェリーは、個室寝台もあれば食堂、ロビーもあるうえ、風呂やサウナまで完備しているが、船体が大きいため、窓のない部屋ができてしまう。そしてフェリー会社も経営には余裕がなく最低限の人員で運航していることから、大部屋の二等寝台は船員の巡回などもない。小まめな空調の温度調整も行われておらず、サービスの省力化が目立つ。さらに寝台夜行列車と比較すれば、運航速度が遅いことから、寝台夜行列車とは利用者層が異なる。このように考えると、寝台夜行列車が得意とする領域があり、それに特化したサービスを実施すれば、自然と活路が見出せる。

筆者は、2015年に戎光祥出版から『寝台夜行列車再生論』を上梓した際、寝台夜行列車が活躍できる領域として、6つの領域を挙げ、解説を行っている。今回は、その中でも以下の2つの領域に重点を置いて説明したい。

① 運行距離1000~1200キロメートル程度を、16~20時間程度で結ぶ、豪華寝台夜行列車

② 運行距離800キロメートル程度を10時間程度で結ぶ、個室寝台中心のビジネス寝台夜行列車

次ページ2つの領域の具体的な内容は?
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