寝台夜行列車は、こうすれば再生・活躍できる 需要がないのが廃止の理由ではなかった

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これらの列車は、深夜0時から午前5時30分までの深夜帯は、旅客取り扱いをしなくても良いため、客単価を上げれば寝台夜行列車の利益率が向上する。①は、観光立国を目指すうえでぜひとも復活させるべき分野である。事例として「北斗星」「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」が該当する。廃止された「トワイライトエクスプレス」は、“スイート”のような超豪華個室寝台から“Bコンパートメント”という割安なB寝台までそろっており、幅広いニーズに対応可能な列車であった。“ロイヤル”“シングルデラックス”“シングルツイン” “シングル”など、1人でも利用できる設備もあれば、鉄道旅行愛好者も対象となる。

豪華寝台夜行列車は、1000~1200キロメートルの距離を16~20時間ぐらいで結ぶことが望ましい。これには食堂車やロビーカーなどが備わり、夕食、パブタイム、朝食といった具合に、速達性よりも列車の旅を楽しむことが主目的となる。そうなると表定速度は時速60~70キロメートル程度が妥当となり、大都市圏では後続の新快速・快速に抜かれることも考えられるため、列車種別は急行でもよいと考える。

開放式寝台は現代のニーズに合わない(写真:IK / PIXTA)

今後は、“Bコンパートメント”では、利用者のニーズに見合わないため、“シングル”クラスの設備が最低限要求される。

各個室にトイレとシャワー設備が備わった“スイート”“ロイヤル”は、人気が高いこともあり、これらの比率を上げることが不可欠となる。

「ななつ星」並みのサービスは不要

“スイート”や“ロイヤル”を利用する人達は、本当にゆったりとした列車の旅を楽しむことを目的としており、高速バスや航空機、そして新幹線が発達しても、これらの輸送モードなど、眼中にはない。「ななつ星in九州」のような豪華かつキメが細かいサービスを実施する必要はないが、「トワイライトエクスプレス」の“スイート”を幾分、レベルアップさせる必要はあるだろう。このような豪華寝台夜行列車であれば、東京~博多間も復活できる可能性は高い。

②は、事例をあげれば「サンライズ瀬戸・出雲」が該当する。 “シングルデラックス”という豪華A個室から、“ノビノビ座席”という指定席特急券だけで利用可能な節約派まで、利用者のニーズに見合った多様な客室設定がされている。そのうえ、電車であるため発車・停止時の衝撃や振動がなく、乗り心地も良好であり、車内の防音性に優れている。さらにシャワールームも備わっていることから、ビジネス客を中心に根強い人気がある。

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