私は寝台列車が好きだ。だが、現在走っている列車で乗っていないのはJR九州の豪華列車「ななつ星in九州」のみとなってしまった。ななつ星を寝台列車と言ってよいのかはともかく、その料金は1番安くても1泊2日のコースで1人25万円、3泊4日コースの最高クラスは1人80万円(共に2名利用時)だ。まず手が届く金額ではない。
ところが昨年8月から運行開始した「或る列車」は、内装はほぼななつ星そのままに、車内でスイーツのコースが楽しめて、料金は1人2万円(現在は2万4000円・2名利用時)で乗れるという。これはぜひ乗ってみたい!と俄然興味が湧いた。
蘇った幻の列車にわくわく
しかし私が興味を持った時点で、とっくにチケットは完売していたのだ。やはり人気の列車、申し込みは先着順でキャンセル待ちというシステムはなく、電話してその時タイミングよくキャンセルなどで席が空いていればご案内します、というもの。
しかしそこはチケット運の良さを発揮、希望日のチケットを手に入れることができ、ついに「或る列車」に乗ることができた。
写真を見て綺麗な列車だなあと思っていたが、調べてみると明治39年に通称「或る列車」と呼ばれ、一度も走ることのなかった幻の豪華列車が存在していたらしい。
当時の九州鉄道がアメリカのブリル社に発注して作られた列車で、後にその模型を「鉄道模型の神様」と言われた原信太郎さんが作成。原鉄道模型博物館でそれを見た水戸岡鋭治さんが感銘を受け、実際に車両を作って走らせたのが、今の「或る列車」ということだった。約100年もの時を経て、現代に蘇ったという物語に期待が高まる。
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