つい先日、ご縁があって、水戸岡鋭治さんの「ドーンデザイン研究所」におじゃました。「或る列車」に乗車後、感動した想いを『プチコミック増刊号』で連載している「女鉄道ひとり旅」で描いたという話をしながら、漫画を水戸岡さんにお見せしたのだ。
以下、その時の会話の一部である。(敬称略)
水戸岡「この子はずっと舌を出してるね(私の自画像を指差しながら)」
ヤスコーン「いえ、口を開けてるんです。あと、これは私です」
どうやら水戸岡さん、幼少の頃から漫画を一切読まなかったらしい。どうりで読み慣れていないはずだ。小さい頃から絵を描くことだけが好きだったとのことだが、漫画には興味なかったとのこと。ひたすら描いていた絵は「木」だそうである。
水戸岡「今も木や葉っぱを描くのが一番好きなんです。自然界はデザインの塊。どれだけがんばっても、人間はかなわない。ぼくはテキスタイル、布のデザインをするのが一番好きなんだよね。ぼくが作ったパターンは200~300種類ありますよ」
確かに或る列車内のファブリックや壁紙は、ものすごい数のパターンがあった。同じものを目にしなかった気がしたが、気のせいではなかったようだ。
ヤスコーン「原信太郎さんの模型より豪華になってますよね?外装の唐草模様が特に。漫画に描くの大変でした」
水戸岡「言えば版下あげたのに(笑)。ぼくは本当に良いものを、日常生活に取り入れたいだけなんです。鉄道が好きだから作るというわけではなく、みんなが集まって楽しい空間を作りたい。乗って喜んでいる人を見ているのが楽しい。アーティストではなくデザイナーですね」
夢の列車をこれからも・・・
こんなの作れっこないよ、と言われたものを作って驚かせるのが好き、という水戸岡さん。おこがましくも、そこは私と一緒だと共鳴しつつ、「或る列車」への想いはさらに深まった。次に乗る時はまた最初とは違う気分で乗れるに違いない。物語はこうして続いていくのだと思った。
水戸岡「仕事をするのはもうあと3年かな。早く引退してひたすら好きな木の絵を描きたいよ」
そんなことおっしゃらずに、これからも夢の列車を作り続けてほしい。
しかし、JR九州に来春登場予定の新しい観光列車「かわせみ やませみ」の実際の製作もこれから、他にも依頼されているという案件の数を聞いたが、おそらくとても3年では終わらないのではないかと思う。
水戸岡さん個人の夢は、まだまだ叶いそうにないかもしれない。
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