ニコニコは「ネット民」と現実をつなぐ “熱”を生み出すコミュニティのつくり方
4月27日よりドワンゴ主催の「ニコニコ超会議2」が開幕する。といっても、東洋経済オンラインを愛読する多くの方が、ニコニコ超会議(ニコ超)がなぜこれほど注目されているのか理解できずにいるのではないだろうか。政治家、タレントから、インターネットから飛び出た人気者、あるいは普通のティーンエイジャーたちまでが集まる“ニコ超”には、単なるネットカルチャー、単なるオタク文化などと切り捨てるだけでは収まりきれない、大きな可能性がある。
ニコ超は、動画共有サイトである「ニコニコ動画(niconico)」――いわゆる“ニコ動”で日々顕在化している、さまざまな議論、情報発信を、幕張メッセの会場に表現したものだ。といっただけでは、なぜインターネット動画サイトが幕張メッセのイベントになるのか、まったく話がつながらない。そう、確かにニコ動は動画共有サイトである。しかし、ただの動画共有サイトにとどまらず、“自分を表現する場所”として、現実社会に身の置き所を失いつつあった“ネット民”たちが、それぞれのコダワリを表現できる場所として機能している。
ニコ動はサブカルチャー同士をつなぐ鎖
現実に顔を突き合わすわけではない匿名のネットコミュニティ。それは一歩間違えれば、ノイズばかりが目立って真実が見えづらくなるカオスな世界への入り口だ。しかし、掲示板などの文字情報ではなく、動画という映像と音を組み合わせた広帯域のコミュニケーションが、匿名コミュニティに投入されたことで、匿名掲示板とは異なる化学反応が生まれた。
動画という広帯域メディアを通じて、ニコ動が“多様なサブカルチャーコミュニティをつなぐ鎖”として巨大化していくことを、ドワンゴ自身が当初から意図していたのか?と疑問に思う方もいるだろう。しかし「ニコニコ宣言」と題されたドワンゴ発表による、ニコ動が目指す目標を読んでいただきたい。ニコ動ファンなら誰もが読んだことがあるだろうこの宣言の第一宣言から第四宣言までは、サービス開発を発表した当初から明言していたものである。
それは、ドワンゴ会長の川上量生氏が言う「ネット原住民」のために作られたサービスである。さて、このネット原住民という言葉も、東洋経済オンライン読者層には、やや理解しづらい表現かもしれない。
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