ロイホが「大人のスイーツ」に力を入れる事情 2013年から始めた「デザート改革」とは?

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デビュー作は2015年10月に発売された「和梨のパフェ」。そのほか2016年2月の「いちごみるくパフェ」などがヒットした。また最近注目を浴びたのは、6月の長崎・天草フェアでの「長崎ミルクセーキとカステラのパフェ」だ。

ロイヤルホストのスイーツでは、“店舗で1日に10個出れば最高のヒット”。ただしそこまでのヒット作はなかなか出ず、いちばん人気の「いちごブリュレパフェ」でも1日8個程度。「ミルクセーキパフェ」は6~7個と、販売期間中最後まで数字を落とさずに健闘したという。「なじみのある素材、味で、男性にも人気があったのが勝因」(大神田氏)だそうだ。

「女子力が上がる」スイーツ

さて、今秋の商品であるいちじくのスイーツは、真っ向から女性目線、という感じだ。いちじくは美容効果があるフルーツとして女性からの注目度が高い。また、チーズと組み合わせている点でも女性好みといえる。

実際、「女子力が上がる」スイーツとして、女性からの注文が多いという。では、いちじくスイーツの売れ行きはどうだろうか。ティラミスが4.5個、パフェが3.8個、プリンが1.5個(すべて店舗で1日当たりの平均)と、大ヒットではないまでも、まずまずの成績。上田さんに、今回のスイーツのポイントについて聞いてみた。

「いちじくは味にインパクトがないので難しいフルーツです。でも、独特の食感や香りがあるので、何かと組み合わせることで光る、と思いました。料理では、生ハムやチーズと組み合わせることが多いので、今回はチーズを使ってみました」(営業・企画本部の上田梨愛氏)。

チーズクリームをベースにしたプリンがいちじくと合う「いちじく&チーズプリンのプレート」

確かに、今回発売の3種はどれもクリームチーズやマスカルポーネチーズを使っている。チーズの塩気が、いちじく本来の香りやほのかな甘みを引き立ててくれるわけだ。見た目がパフェほど華やかではないこともあって3番人気のプリンも、ぜひ食べてほしいという。チーズクリームをベースにしたプリンがいちじくと合うのはもちろんのこと、プレートに添えたごまのチュール(焼き菓子)のぱりぱりとした食感や独特の風味が、味わいに変化を与えているそうだ。「梨やいちじくのように、目立たないけれど価値があるフルーツを使ったスイーツを開発していきたいです」(上田氏)。

スイーツ好きの間では、「スイーツと言えばデニーズ」というイメージだったが、同チェーンでも、スイーツが看板商品のひとつになりつつあるようだ。「おかげさまで、期間限定スイーツについて“今年も○○は販売しますか”などのお問い合わせをいただくことも増えています」(大神田氏)。

このように、女性をターゲットとした戦略で突き進んでいるロイヤルホスト。しかし、偏りすぎて失敗したエピソードもある。

洋食と言えばカロリーが高めで、「ガッツリ」な印象があるため、ランチでは女性受けが悪い。2014年2月から、日替わりランチをたっぷりサラダ&メイン料理の組み合わせにしたところ、狙いどおり地域によっては女性客が増えたものの、今度は男性客が減ってしまった。ランチはお昼の1時間が勝負であるため、男性客に受けるガッツリメニューを削ったことで大きな影響を与えたのだ。

ロイヤルホスト企画統括部長 城後稔氏(左)と営業・企画本部 上田梨愛氏

2016年9月からは、よりボリュームのある日替わりランチも選べるよう、メニュー改訂している。サラダのランチは間違いなく女性客にも、健康志向の客にも喜ばれる。また、他店との差別化にもなりそうだ。ボリュームのあるランチも選べるよう、選択肢を広くしたことで、客層の幅も広がったのではないだろうか。実際、ランチの注文数は増加傾向にあるという。

スイーツに関しても、最近では「男性がスイーツを食べるのは恥ずかしい」という風潮も以前より薄れている。それどころかスイーツ男子も増えている。ランチメニューと同じく「男性目線のスイーツ」を考案すれば、男性客を惹きつけることになるかもしれない。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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