ロイホが「大人のスイーツ」に力を入れる事情 2013年から始めた「デザート改革」とは?
しかし、「2010年に比べると売り上げは110%で推移しており、短期間における業績の上下については、それほど深刻には見ていません。“お客様に高い価値の提供をしていく”という基本方針を守って行きたいと思っています。1250円という客単価設定もこれまでと同じ。変える予定は今のところありません」(企画統括部長・城後稔氏)と、長期的な見方をしているようだ。
以前は、ファミレスとして、すかいらーくやデニーズなどとの差別化が十分でなかったロイヤルホスト。しかし、より強みを発揮すべく、長期的な見方で大きく姿を変えてきているという。
洋食メニューをブラッシュアップ
まず取り組んだのは、女性をターゲットに据えることだ。全店全席禁煙化や内装とトイレの見直しなど、女性の目線で店舗の改装を行った。
次に、2011年1月、ロイヤルホストとして、地域ごとに複数あった分社を1社化したのをきっかけに、「ロイヤルホストの強みは何か」を徹底的に模索したという。
「当社の前身は、ロイヤル中州本店という本格フレンチレストランです。そのため、強みということを考えた場合、洋食という切り口がありました。ドリア、カレー、オニオングラタンスープなどのソースメニュー、ハンバーグやステーキといった、定番のブラッシュアップを行いました」(城後部長)
たとえば、「ロイヤルアンガスサーロインステーキ」では、厳しい基準をクリアしたサーティファイドアンガスビーフを30日以上寝かせたものを使っている。ちなみにサーティファイドアンガスビーフとは、アンガスビーフの中でも上位ランクのもので、認定を受けられるのは全体の2割程度という貴重なビーフだそうだ。
このように素材を見直すとともに、メニュー上でも、得意なソース類を使った料理には王冠マークを記すなどしてアピールした。
「グループ社内にセントラルキッチンがあるのが当社の特長です。手煮込みに時間がかかるソース類などは、セントラルキッチンで製造される。一方で、また、できるだけ店内調理の比率を高めています」(大神田氏)
まず店舗の改装、次に伝統メニューの見直し。そして第3の改革として2013年から取り組んだのが、デザートの抜本的見直しだった。大きく変わったのは、それまで喫茶の担当が兼ねていたスイーツの商品企画を、専門のコックに任せたこと。また、女性の人材を登用したことだ。
そこで白羽の矢が立ったのが、九州にある店舗でキャプテン(キッチン内では2番手に当たる)を務めていた上田梨愛さん。まだ20代後半と若いものの、天性の感覚と、それを上回る勉強熱心さで、次々に新感覚のスイーツを開発しているという。
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