井手:いまの日本では「私」を使う人が多くて「私たち」という言葉が弱い。若い子はほとんど「私たち」なんて使わない。僕は、自分の幸せだけではなくて、それをみんなの幸せと結びつけて考えたほうがいいと思うんです。誰もが家族の幸せを考えますが、「国家」つまり「国の家」という単位で一つの家族のような存在と思えれば、今までの世の中と違う考えになれると思うんです。
つまり、自分が得をするとみんなが得をするし、みんなが得をすると自分も得をする、そんな可能性をもっと考えていいと思うんです。
木本:自己の利益が、他者の利益につながる「プラスの連鎖」ですね。
井手:みんなが家族のように生きていくと、自分が得をするような、win-winの仕組みを考えるんです。そうすると自分が幸せになることで、それが全体に回ってみんなが得をする。
木本:そういう発想で社会が作り変えられるといいですよね。
「みんなで助け合うとあなたも得をしますよ」
井手:「みんなのために生きなさい」と言われるとしんどいです。だから、「みんなで助け合うとあなたも得をしますよ」という発想が大事なんです。
木本:その考え方に賛同しますが、本気の目標にしないといけないと思うんです。思想とか理想として提案するだけだと、「それは理想型でしょ」と言われて、片隅におかれたままになってしまう。
井手:そのとおり。「正義」として語るのはよくないんです。学者も左翼も、リベラルも「みんなのために生きていくことは正義だ」「困っている人を助けるのは正義だ」と語ってしまうから、嫌われてしまう。「正義」を語って政策を作る、これほど恩着せがましいものはない。僕は「私も、あなたも、私たち国民全体がもっと幸せになるからやりませんか」というメッセージを発信したいんです。問題はその具体的な中身ですよね。
(構成:高杉公秀、撮影:梅谷秀司)
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