政策を工夫すれば「分断社会」の解消は可能だ

今必要なのは、「みんなが幸せになれる政策」

井手:ある地域だけに建物や組織を作ると周辺地域が文句を言いますから、総花的に、まんべんなく作っていたわけです。郵便局でも農協でも学校でも、全国の隅々に作ることができた。だから対立せずに済んだし、働いただけおカネも増えていったから、みんながハッピーでした。

木本:貯金もできるし。

井手:それが大事なんです。貯金ができると自分でなんとかできる。子どもを塾に行かせる、歳をとった時や病気の備え、家を買うなど、すべて自分の貯金があるならなんとかなる。だからみんな必死に貯金していたわけです。

木本:親、祖父の世代を見てきた40代の僕らからすると、貯金していくのは当たり前でしたね。

景気が傾いたことで昔ながらの分断性が甦った

井手 英策(いで えいさく)/1972年福岡県生まれ。2000年に東京大学大学院経済研究科博士課程を単位取得退学し、日本銀行金融研究所に勤務。その後、横浜国立大学などを経て、慶應義塾大学経済学部教授に。専門は財政社会学、財政金融史。著書の『経済の時代の終焉』(岩波書店)で2015年大佛次郎論壇賞受賞。最新刊『18歳からの格差論』(東洋経済新報社)は、自民党、民進党を問わず永田町の政治家の必読書として話題をさらっている

井手:僕らの世代まではそうですよね。ただ、若い世代は、一生懸命働いても給料は上がらないし、非正規雇用化も進んだ。貯金したくてもできない。でも上の世代、特に高齢者世代は、貯金があって、年金ももらえていいなという感覚。

木本:若者は公共事業などで、おカネが回って潤っていた時代を知らないわけですね。

井手:経済が成長するっていうこと自体を知らない世代です。

木本:物心ついた時はインフラが出来上がってしまっていて、そこには仕事がない、じゃあどうする? という時代がスタート地点なんですね。

井手:未来への不安がある。仕事はあるのか、正規社員になれるのか、貯金できるのかと、おびえている。それでいてなんでオレたちから税金を取るんだ、という思いがある。

分断の話に戻りますが、景気が傾き始めると全部がストップしてしまう。所得は増えないし、貯金できないし、あちこちで作っていたハコモノも、政府の借金が多くなりできなくなった。そうすると歴史が逆回転し始めて、予算を削ることが主になってしまう。何が無駄で、誰から税金を取るかという方向に。そうすると、昔ながらの分断性がよみがえってくる。

木本:隠れていた「性格のよくない」部分が出てきたと。

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