次世代DVD戦争 勝者なき結末の予感

本格的な普及を前にして見えてきた最悪シナリオ

それでも両陣営が米国で必死に普及を急ぐのには訳がある。現行のDVDを見ても、録画再生機と映画ソフトの双方において、米国は突出した世界最大の市場だ。ここでの勝負に敗れると、巨大市場を取りこぼすことになる。意地でも落とせない最重要地域なのだ。

そして、戦況はここにきて混迷の度を深めている。ソフトの累計販売本数ではBD陣営が大きくリードしているものの、10月末時点でのハード普及台数はほぼ拮抗(ゲーム機を除く)。しかも、東芝を中心とするHD DVD陣営は今夏、米大手映画会社パラマウントとドリームワークスの規格支持を取り付け、見劣りしていた映画会社の陣容がBD陣営とほぼ互角になった。米国での覇権争いは長期化の様相を呈しており、今後も身を削るような価格競争が続くのは必至だ。

日本の電機業界は次世代DVDの開発に10年近くの歳月を費やし、「薄型テレビと並ぶ成長の牽引役になる」と大きな期待を寄せてきた。しかし、主戦場の米国で早くも勃発した壮絶な安売り合戦。「本格的な普及期を迎える前に価格下落だけが進み、どちらが勝っても、日本の電機メーカーは誰も儲からない。そんな最悪のシナリオすら現実味を帯びてきた」と、ある電機担当アナリストは指摘する。100ドルを切る激安の次世代DVD再生機の出現は、勝者なき「悲しい結末」を暗示しているようにも見える。

(書き手:渡辺清治、山田雄一郎)

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