ビジネスは「他力本願」で行こう! リーダーに必要なのは「他力本願」?

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他力経営の大切さ

他力を軸とした経営の最たる例は、お寺です。「他力本願」という言葉は浄土真宗の発祥ではありますが、仏の力を中心とした経営としてみれば、あらゆるお寺に当てはまるでしょう。お寺における経営の責任者は住職ですが、誰の「願い」を中心に置くかという点から考えると、それは住職ではなく仏です。

お寺ではご本尊をその中心に安置しており、住職もお寺の家族も檀家さんも、お寺にかかわるあらゆる人たちは、ご本尊に心を向けて活動しています。つまり、他力経営のお寺における拠り所は、社長たる住職ではなく、ご本尊なのです。

私は昨年より「未来の住職塾」という住職を対象としたお寺経営塾を開いていますが、ご本尊中心の経営の大切さを改めて痛感しています。「お寺なんだから、それが当たり前じゃないか」と思われるかもしれません。しかし、一言でお寺といっても、個々のお寺をみると実にいろいろな状況があります。住職の不信心というのは論外としても、お寺の興隆に熱心な住職であるがゆえに、活動の幅が広がりすぎてご本尊がおろそかになっているという場合もあります。さまざまな事情によって、ご本尊中心の経営ができていないお寺というのもあるのです。

お寺がその最終の拠り所であるはずのご本尊をおろそかにするようになると、どうなるでしょうか。その影響はすぐには出ません。たとえば、住職がその本分を忘れてお寺の本業と関係のないマンション経営などに熱を上げたとしても、短期的には財政面で成果が上がるということはありえます。

しかし、長年続いてきたお寺におけるかけがえのない財産は、目に見える建物やキャッシュなどの資産ではなく、そのお寺を支えたいという人々の気持ちなど、目に見えないものにこそあります。ご本尊がおろそかになれば、人の心は離れていきます。特にお寺のように数百年という歴史を持つ組織における経営では、当代の一時的な繁栄も、長期でみればマイナスに働くことも多々あります。

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