3割が燃え尽きる?「研修医」という超激務 「住み込み」で働く覚悟が必要

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あまりにも年齢が高いと、求人も極端に少なくなる

ほかの医師同様、人生経験を何年か経た方が、医師国家試験に受かり医師として最初の一歩を踏み出すのは、初期研修です。第3回目のコラムでも書いたとおり、医師の就職率は96%以上ですから、そこで就職ができないということは、ほぼありません。初期研修の2年間は、ある意味、病院としてもそれほど期待感はなく、給与も低い中で、雑用などもこなしてくれるコマとしか思っていません。実際、ローテーションで各科を数カ月間回って過ごす生活なので、多くの患者を責任持って長く受け持つということもありません。

しかし、3年目からの後期研修は違います。研修医とはいえ、医師として外来や病棟も持つことにもなるため、採用側も医師なら誰でもいいということにはならないのです。そこで中年研修医の方は、初めて自分の市場価値がそれほど高くないということに気づきます。

研修医の人気のある病院は、やはり中年よりは若い研修医を選びます。当然、人間性が高く、頭がよかったとしても、研修医としての通常勤務に耐えられるか、という観点が発生するため、年齢は重要です。

また、病院や大学の組織というのは、年齢的なバランスというのを重要視します。

院長をトップとして、部長、医長、医員というのは年齢的に50代、40代、30代となっていくのが普通です。ですので、そこにいきなり40代の研修医が入ってきたら、バランスが大きく崩れてしまいます。最近よくある現象として、指導医クラスの医師が部下として入ってきた研修医よりも年下だったため、扱いに非常に苦労をしたなんてことが起こります。一般のサラリーマン社会では、今やそんなことは当たり前になってきたのかもしれませんが、まだまだ医療界は古い体質です。そうした中で、中年研修医は孤立しやすい傾向にあり、なかなか周りに溶け込めないということがあります。

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