私は「医師のキャリアを考える(http://ameblo.jp/nhmc040930/)」というブログを書いておりますが、最近は本当に中年研修医が増えていることから、「医師になるには相当な覚悟が必要」というトピックの記事を書いたことがあります。これは多くの読者に読まれているようですが、医学部を目指す社会人は、医師になってから本当に活躍できるのかということを真剣に考えたうえで、受験していただきたいと思います。
中年研修医が進む道
体力の面で劣る中年研修医は、科目の選択において、手術を中心とする外科系に進むのは少数です。外科になるにはハードな研修はもちろん、一人前になるのに10年かかると言われています。仮に40歳の医師がいた場合、自信を持って患者に手術ができるのが50歳。ちょっと想像しにくいですね。また内科であっても、カテーテル手術など急性期治療が必要な循環器内科や、患者の急変で夜間の呼び出しなどが多い消化器内科は、なる人が少ないです。結局、年齢や体力的な問題を考えると、自分がなりたいと思っていた科目を選択するのは現実的に厳しく、消極的な選択をせざるをえなくなります。では中年研修医が主に進む科は何か?
それは精神科です。
これはある意味、理にかなっていると思います。医学部に入り直した方は多くの社会経験があり、患者側の視点で社会を見ている方が多いため、さまざまな社会の矛盾や問題を肌で感じられます。それゆえ患者の気持ちが、高校からそのまま医学部に入学した医師よりもわかるといった利点が考えられます(100%そうとも言い切れませんが)。また、研修についても、ほかの科に比べるとプログラムに柔軟性があり、早く一人前になりやすいのです。
高ストレス社会において精神科の需要は広がっており、そのような意味で精神科を選択する研修医が多いのは自然なことですが、とはいえ、年齢が高いと医師になっても自分の選択の幅が狭くなるというのはあらかじめ知っておくべきだと思います。
医師として一生の仕事にしていく覚悟
医師というのは、最高の資格で食いっぱくれがなく、誰もがあこがれる職業かもしれません。大企業においてもリストラが進み、一歩先、半歩先が不透明な世の中においては、さまざまな社会の矛盾に嫌気が差し、医師として患者のために働きたいと思う方が増えるのは、ある意味当然のことだと思います。ただし、頭がよくて医学部に入学する能力があるだけでは、医師として充実した一生を送ることはできません。そのような適性や能力をあらためて考えさせられるのが研修医の期間であり、そこで一生を医師として過ごすという覚悟が試されるのです。
次回は、医師の転職事情についてお話しします。
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