マイホーム購入で数百万円損する「罠」とは? 不動産広告で見破れ!

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水道管の太さは、20mmが最低条件

とはいえ、広告と違い大した情報量があるわけではないので、簡潔に答えを解説しよう。

この写真のフタには、「13mm」と書かれている。これは、この家に引き込まれている水道管の太さを表しているのだが、現在はほとんどの行政において、新築住宅には「20 mm」以上の引き込みを強制している。

かつては、家にトイレは1つという家庭が多かった。ところが、現代の住宅においては、一戸建てにはトイレが2つあるのが普通になった。トイレに限らず、最近はとにかく水道を使う場所が多くなっている。洗面所にはじまり、ベランダの水栓や車庫スペースの水栓など、その数は昔の比ではない。また、3階建て住宅の増加によって、必要とされる水圧も高まっており、13mmの水圧では水が3階まで上がらない場合もある。

13mmでは、たとえ今は問題なく使えていたとしても、将来上のようなリフォームをする際に、大問題になる可能性が高いのだ。

では、水道管を20mmのものに替えればいいかというと、話はそう簡単ではない。道路の下を走っている大きな水道管(主管という)から、各家庭に引ける20mmの水道管の本数には限りがあり、それを超えて無理矢理太い水道管を引くと、一帯の住宅の水圧を著しく下げてしまい、大クレームに発展してしまうのだ。
このような場合、自分の家専用に遠くから主管を引いてくるしかないのだが、これには莫大な費用がかかる。数百万円かかることも、珍しくないのだ。

水道管の容量は、広告からは判断できないため、物件を紹介してくれた不動産会社にきちんと聞くか、より専門的な知識のある建築士などに相談することが必要になる。

連載第1回目では、見逃すと数百万円損するリスクのある落とし穴を2つ紹介した。これらは、もちろん良心的な不動産会社であれば、事前に顧客に説明するポイントである。

しかし、仮に説明しなかったとしても、罰則規定は存在しないのだ。勉強せずに不動産会社の良心を信じるのか、それとも人生最大の買い物にはできるだけ慎重になるのか。その判断は、読者に委ねるほかはない。

慎重になりたい、という読者のために、次回は「広告だけで物件の“危険度”を見分ける方法」を解説していく。

高橋 正典 不動産コンサルタント

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たかはし まさのり / Masanori Takahashi

1970年、東京生まれ。価値住宅株式会社代表取締役。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。中古住宅の流通時において建物価値が築後経過年数に比例して一律減価する日本の建物評価に対して、個々の建物の価値の維持・向上を目指すべく、取引物件のすべてに「住宅履歴情報」の蓄積を行う、不動産取引から維持管理まで、顧客との永続的関係構築を行っている。
また、築年数によらず建物の一つひとつの価値を評価し、適切に売却及び流通させる不動産ネットワークである「売却の窓口」を運営、全国に加盟不動産会社が拡がっている。

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