黒田日銀は、どこまで市場を「操作」できるか 山崎 元が読む、ちょっと先のマーケット

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日経平均2万1700円説

黒田総裁が、リスクプレミアムがどのくらい圧縮したらいいと考えているのかはわからない。だが、仮に2%の圧縮とすると、筆者の計算では日経平均で2万1700円、PER(株価収益率)では37.7倍となる。

周知のように、為替レートについて、日銀は、これを政策の目標にしているとは対外的な配慮の関係から、おおっぴらに認めることができない。

黒田総裁も、為替の問題は財務省の専権事項だと逃げるか、「一般論」と断った上で、金融緩和した国の通貨の為替レートは安くなる傾向があり、金融緩和自体が他国にとってもプラスだ、と説明するにとどめている。

しかし、日銀が為替レートの円安を願っていることは明らかであり、いわゆる「アベノミクス」は、その初期にあって、円安と株式をはじめとする資産価格の上昇を通じた波及経路に大きく依存している。「株価を上げることが眼目です」、「円安を強く願っています」と、明言することは難しいのだろうが、ここは意を汲んであげるべきだろう。

「黒田インタビュー」の懸念事項

4月10日に行われた大手新聞による黒田総裁へのインタビューを読むと、少し心配な発言がいくつかあった。

一つは物価上昇率目標がなぜ「2%」なのかに答えたやりとりの中でだが、「多くの国は、レンジ(範囲)は示さず、2%という目標だけを示し、さまざまな経済動向をみながら、ある場合には2%を超えても金融緩和を続けたり、逆に2%に達しなくても達成の前から緩和策を撤回していくこともやっている」(「日本経済新聞」4月11日朝刊)と述べているが、これは少々危険な発言だ。

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