岡崎慎司は、なぜ上司の心を掴めるのか? 「上司に信頼される」より、まず「上司を信じる」

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監督を信頼していれば、指示に背いてもいい

もちろん岡崎にも、迷いや葛藤がある。

「自分も人間なので、『信頼されたい』っていう気持ちを完全に消すことはできないですよね。特にずっと人の目を気にしてやってきた選手だから。だからこそ、迷ったときに、監督を『信頼する』って考えることが必要。そうすると、自分に戻れる」

今、岡崎が取り組んでいるのは、“DFの背後を狙うプレー”と“足元でボールを受けるプレー”の両立だ。

ディフェンスラインの裏に走り込むダイナミックなプレーは、Jリーグ時代から岡崎の大きな武器だった。一方、密集地帯の隙間に入り込んで、足元でボールを受けてキープするプレーには課題があった。

ただし、キープだけを意識すると、自分らしい飛び出しが損なわれる。そこで岡崎は、こう考えてプレーしている。

「監督から『足元で受けろ』と言われても、まずは自分が裏をとこんとん狙ったうえで、次にプレーのイメージが見えたときに足元で受ければいい。監督を信頼するっていうのは、つねに従うっていうことじゃないんですよ。監督を信頼していれば、自分の判断で指示に背いてもいい」

これからも岡崎は、地をはうようにして、粘り強く、泥臭く、サッカー界の高みを目指して前進して行くに違いない。

木崎 伸也 スポーツライター

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きざき しんや / Shinya Kizaki

1975年東京都生まれ。中央大学大学院理工学研究科物理学専攻修士課程修了。2002年夏にオランダに移住し、翌年からドイツを拠点に活動。高原直泰や稲本潤一などの日本人選手を中心に、欧州サッカーを取材した。2009年2月に日本に帰国し、『Number』『週刊東洋経済』『週刊サッカーダイジェスト』『サッカー批評』『フットボールサミット』などに寄稿。おもな著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『クライフ哲学ノススメ 試合の流れを読む14の鉄則』(サッカー小僧新書)など。

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