「がん幹細胞」たたく新薬、15年度にも発売 世界で先行開発、大日本住友製薬社長に聞く

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情報の提供にあたっては、基本的にはフェアに、すべての方が同じ情報を同時にシェアできるようにと考えています。この薬がこれだけ注目を浴びているということも、よく理解していますので、節目節目ではリポートをしていきます。

アナリストなどの関心は、いつ、われわれがデータを開示するかということです。

フェーズ1、2のデータについては、今期中に国際的ながんの学会での発表を目指しています。また、メカニズムの開示については、がんの分野は極めて競争が激しく、開示したとたんに他社が同じようなターゲットを目指して開発してくるため、十分なリードタイムを取らないとリスクは大きいだろうと見ていますが、こちらも今年度末までには発表する考えです。

iPSでは山中教授と創薬で共同研究、網膜の再生も

――イノベーションへの挑戦、最先端技術の活用を強く打ち出しています。iPS細胞(写真)の活用については、ノーベル賞を受賞した山中伸弥・京都大学教授とも以前から共同研究を行っています。

山中教授は1993年から約3年間、米カリフォルニア大サンフランシスコ校に留学されていましたが、当社の平松隆司ゲノム科学研究所長も同じ頃、同大バークレー校に留学し、親交を深めていました。帰国後に平松から共同研究を持ちかけ、2001年にはマウスES細胞(胚性幹細胞)関連の共同研究をスタートさせました。

ご承知のとおり、山中先生には難病を治療したいという、すごく強いお気持ちがあります。そこで2011年からは、iPS細胞を活用した、ある筋骨格系の難病に対する共同研究を行っており、16年までをひとつの区切りとして、対象化合物を選定するというスケジュールでやっています。

――iPS細胞を活用した再生医療については?

先日は、理化学研究所認定ベンチャーの日本網膜研究所との資本提携を発表しました。iPS細胞技術の実用化に関する連携に向け、協議していきます。山中先生との取り組みは、iPS細胞を活用した創薬、こちらは網膜の再生医療となります。

グローバル化は必須、海外に行くならがん領域

――2008年の社長就任以来、米国での大型買収など、大きく会社を変えてきました。

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