「がん幹細胞」たたく新薬、15年度にも発売 世界で先行開発、大日本住友製薬社長に聞く

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この事業で生き残っていくために絶対に必要なのはグローバル化です。日本の市場だけで医薬品メーカーが生き延びていけるとは思っていません。

2009年に米国のセプラコール社を買収して、世界に対する目が一気に広がりました。当社は、がん領域を一度やめていました。確かに、日本だけだと、一つひとつの疾病の市場は小さく、競争も激しい。しかし、社長になってグローバル化を進めてみると、がんの市場は大きく、1剤で5000億円、6000億円というマーケットがある。そんな世界を私は少なくとも知らなかった。海外に行くなら、がん領域だと言い出したら、皆もついてきてくれました。

国内でも、がん創薬研究所を選抜的に新設し、BBIのチャン氏の指揮の下、スピードやハードワーキング、意志決定の明快さなど、米国流のベンチャー的手法を取り入れてやっています。米国のBBIのラボと競争して、開発中の薬だけでなく、BBIからも日本からもそれに続く成果が出てくると思っています。

メガファーマ対抗へ、最先端の画期的新薬に絞り込む

――従来から強い精神神経領域と、買収で本格参入したがん領域への特化、スペシャリティ・ファーマ志向を打ち出した。絞った分野でファースト・イン・クラス(画期的な新薬)を狙うと宣言しています。

スペシャリティといっても一般スペシャリティ、大きな分野だと、他社も目をつけている。だから、がん領域といっても、他社の皆さんはオーソドックスな抗体医薬的なものを中心にやっておられるが、当社は限られた資源をがん幹細胞やがんワクチンなどの研究開発に集中する。その中でも他社とは違うアプローチでやっているのです。

重点領域は、精神神経、がん領域が中心ですが、それ以外の希少疾患的なもの、先端的な技術に関係するものはやっていく。患者さんが非常に困っておられて、今までの技術では対応できない。そうすると新しい技術を開発せねばならない。先端技術を狙うということは、すなわちアンメット・メディカル・ニーズ(いまだ有効な治療方法がない医療ニーズ)の高いものをやっていくことになり、それが患者さんの役に立つと考えます。

メガファーマに対抗するには、分野を限って得意分野を、しかも先端技術で作り上げるしかない。(メガファーマの)皆さんは力があるから、この領域も、あの領域も、ということでしょうが、最先端、アンメット・メディカル・ニーズ、ファースト・イン・クラス、当社はよそ見しないで、これに徹しています。

(多田社長と大日本住友製薬本社ビルの写真はヒラオカスタジオが撮影)
 

水落 隆博 東洋経済 記者

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みずおち たかひろ / Takahiro Mizuochi

地銀、ノンバンク、リース業界などを担当

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