ジェネリック大手、生産増強なぜ急ぐ 成長市場に新薬や外資系の大手も触手

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(写真:沢井製薬の製造現場での風景)

最近、テレビCMでよく見掛ける「ジェネリック」。ジェネリックとはそもそも、特許が切れた新薬(先発医薬品)と同じ有効成分で、同等の効き目を持つ後発医薬品のこと。医療財政が厳しくなる中、政府は薬剤費の上昇を抑えるため、価格の安いジェネリックへの転換をより強めていく意向だ。

その一方、安倍首相が交渉参加を表明したTPP(環太平洋経済連携協定)においては、米国が特許など自国企業の知的財産保護を強く求めた場合、後発薬の普及に不透明感が生じるのではないかとの懸念を抱く向きもある。そうした競争環境や政策の変化もにらみつつ、ジェネリック大手があわただしい動きを見せている。

俳優の高橋英樹さんの出演するテレビCMでも知られる、ジェネリック大手の沢井製薬では、関東工場(千葉県茂原市)敷地内の新製剤工場が竣工し、この3月から稼働した。同工場は2011年9月に着工し、約100億円の投資額をかけて建設を進めていたもので、年間20億錠の生産能力を持つ。

新製剤工場稼働で年間100億錠も視野入り

沢井製薬の製造拠点は、三田工場(兵庫県三田市)、大阪工場(大阪市)、九州工場(福岡県飯塚市)、第二九州工場(福岡県飯塚市)、および関東工場(千葉県茂原市)の5カ所。

このうち関東工場の新製剤工場稼働(能力5.4億錠の旧製剤工場は取り壊しの予定)により、全社ベースでの年間生産能力は一挙に80億錠体制へと引き上げられる。

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