ジェネリック大手、生産増強なぜ急ぐ 成長市場に新薬や外資系の大手も触手

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(写真は関東工場の新製剤工場)

沢井製薬の今2013年3月期の計画販売量は60億錠弱であり、すでに必要量に対して余力を十分確保できる供給力水準に達したといえる。が、同社の能力増強計画はこれにとどまらない。

関東工場内の新製剤工場は、機械を追加搬入するための予備スペースをあらかじめ有しており、追加で20億錠の能力増強にも対応できる。15年3月期を最終年度とする中期経営計画では、年間100億錠体制に向けた関東工場での第2期工事の投資計画は織り込み済みだ。

また、会社側では「各工場で2交替制を導入すれば、100億錠の供給力が120億錠にもできる」と説明。さらに「状況に応じて、工場拡張や海外生産も検討する」と、一段の設備増強の可能性にも言及している。

沢井製薬は後発医薬品業界の有力メーカーとして順調に業容を拡大させてきた。09年3月期から前12年3月期にかけて、各年度の生産能力は47.7億錠、51.7億錠、55.7億錠、60.4億錠と右肩上がりで順調に拡大してきた。だが、ここにきての能力増強計画は従来の増設ピッチを大きく上回る。

ジェネリックのシェア拡大へ政府も後押し

国内のジェネリック業界で生産能力の増強を図っているのは、ひとり沢井製薬だけではない。同業大手では、東和薬品が12年4月に新山形工場を稼働させたほか、日医工では、この4月に富山工場の新棟が稼働する。またテバ製薬でも、生産能力の拡大を計画しているという。

各社がこぞって能力増強に向かうのは、政府の後押しによって、ジェネリック市場の中長期的な成長が見込めるなか、拡大する需要に対応し、安定供給力を確保する狙いがある。

薬剤費の上昇を抑えたい政府は、12年度までにジェネリックの数量シェアを30%以上に引き上げる目標を設定。診療報酬や調剤報酬の改定で病院や薬局にとってのインセンティブを整備してきたほか、「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」などで各種施策を行ってきた。

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