「がん幹細胞」たたく新薬、15年度にも発売

世界で先行開発、大日本住友製薬社長に聞く

最近、にわかに「がん幹細胞」という言葉が注目を集めている。がん幹細胞とは、木に例えれば、がんの“幹”であり、抗がん剤などで、“枝葉”に当たるがん細胞をたたいても、がん幹細胞が残っていると、再発、転移につながると考えられている。その様子から、がん幹細胞を“女王バチ”にたとえる見方もあるほどだ。
その「がん幹細胞」を攻撃し、がんの再発防止を狙う新薬を世界でもトップを切って開発している、大日本住友製薬の多田正世社長(写真)に聞いた。

がんの“女王バチ”をたたかないと、再発防げない

――がん幹細胞をターゲットにした再発防止を狙う新薬を開発中です。成功すれば、世界初の新薬ということですが、そもそも「がん幹細胞」とはどのようなものですか。

がんの細胞の親玉のような細胞を「がん幹細胞」と称しています。仮説ではありますが、すべてのがん細胞ががん幹細胞から派生してくるという認識です。がん幹細胞が女王バチ、がんの細胞が働きバチというイメージです。いくら働きバチを殺しても、1匹の女王バチが生きていれば、次のがんが出てくる。われわれは、がん幹細胞を直接たたくことを考えています。それによって、がんが転移したり、再発したりということを防ぐ可能性があります。

開発中の薬は、がんの一般細胞にも幹細胞にも両方効く、オールマイティな薬になると期待しています。ただ、がんの種類によって効き目が違うので、すべてのがんに効くとは考えておらず、大腸がんから開発を進めています。

がんに幹細胞があるかどうかについては、血液がんではがん幹細胞の存在が立証されています。一方で、固形がんでは、がん幹細胞の存在は十分には証明されていないのが現状です。ただ、固形がんでも研究が進み、膨大な傍証が出ている。最近でもがん幹細胞の存在を示唆する報告がいくつか出てきており、そういうこともあって、がん幹細胞をターゲットとする薬の開発でトップを走っているわれわれが、注目されているのだと思います。

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