ウォシュレット、独老舗と組み欧州攻める TOTO、初の相手先ブランドで供給

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今回ISHに出展した欧米の大手ブランドの多くも、「シャワートイレ」「電気式ビデ」など、呼び名はさまざまながら温水洗浄便座製品を商品ラインアップに加えてきている(写真は一例)。

米国最大の競合相手であるコーラー社が2012年に韓国の温水洗浄便座メーカーを買収するといった動きもあり、世界の温水洗浄便座市場をリードしてきたとの自負があるTOTOにとって、うかうかしてはいられない状況にあることは確かだ。

こと欧州に関しては、TOTOが本格進出したのは2008年と歴史が浅く、ひしめく強力な現地ブランドの中では新参者の域を出ていない。

「欧州の温水洗浄便座市場をTOTO単独の力でつくる、というのは無理な話。一方で、品質や安全面で問題のある商品が先に出回ると、せっかく芽が出た市場が潰れる可能性もある。その点、V&Bは欧州において品質管理、ブランド、顧客層、販売ネットワーク、マーケティングなどトータルな強さを持っており、将来に向けてこの市場を確立していくことを考えたときにはベストなパートナー」と張本社長は手放しで評価する。

ウォシュレットを売り込む前に、まずは温水洗浄便座市場のパイを広げる。市場が広がれば、得意とする技術力での差別化に持ち込みたい。これがTOTOの描く欧州でのウォシュレット拡販戦略だ。

TOTO欧州事業の黒字化にも貢献しそう

TOTOには、欧州事業の収益化という課題もある。現在、営業利益の4割程度を中国を中心とする海外で稼ぎ出しているが、欧州市場はずっと赤字が続いている(2012年3月期で8億円の赤字)からだ。進出する際に現地の便座工場を買収したことで初期投資が重かったうえ、リーマンショックの影響で販売態勢を絞り込むリストラが必要になったことも出ばなをくじく要因となった。

が、「態勢をスリム化した2年前からの計画はほぼ順調に進んでおり、あと2~3年で黒字化できる」と張本社長は読む。「過大な期待はしていない」(同)としながらも、V&BへのOEM供給は欧州事業の収益にプラスに働く面は無視できない。

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