中高生限定「ゴルスタ」騒動が示した本当の闇 救われない子供たちは、たださまよっていく

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「ゴルスタからアイドルグループを作ると言って、メンバーの子が学校を中退して話題になっていたでしょう。あれも、現実にあること。『お前、面白いからお笑いの養成所行けよ』なんていうのと、同じノリです。学校の先生を殴っちゃったから学校をやめて職人になる、ゴルスタで人気が出たからアイドル事務所に入る、ゴルスタに怒られたから河岸を変えてYouTuberになる」。すべて並列であり、”彼らの論理的には”整合しているのだ。

スクールカーストの頂点を目指す

「偏差値って受験人口の中でしか出されていないから、高校も大学も受けもしない子供たち、まして学校にも来ない子供たちというのは、もう統計数字に表れない。そんな層にいる子供にとって切実に生き残る道とは、学校で目立つこと、取り巻きを作って仕切ること。そこでのスクールカーストの頂点を目指すんです」

ゴルスタは、それをバーチャルに、全国規模で行える場所だったのだ。「運営がおかしい、というのは大人の感覚です。一部の中高生にとっては普通に受け容れられる楽しいサイトで、承認欲求を満たすのに最適なツールだった。だからあれだけ流行った」 

ではあのいびつなSNSは、「中高生限定」と大人を排除していたからこそ成立可能だった、子供たちにとっては当たり前の感覚を共有する、快適な居場所だったのか? それを大人がのぞき込み、おかしいと声を上げたことで、彼らの小宇宙の均衡が崩れてしまったのだろうか。

「教育業にあるまじきことをした」との旨の声明を出して、ゴルスタを終了したスプリックス。だがK氏はそれで中高生たちの問題が解決したわけではないと指摘する。

「世間や株主に向けた正義なんてのは、大人の事情に過ぎない。少し前に社会問題となったプロフサイトと同じで、時代に即して似たようなものが出てくるだけのことです。実際、ゴルキャスがなくなって、子供達はツイキャスへ戻ったりLINE LIVEへ移行したり、ただそれだけ。子供たちにはいじめのツールも話し相手を見つけるツールもたくさんあって、真っ当な大人の目には入らない。ゴルスタがあろうがなかろうが結局、学力が高くない中高生の彼らはずっと救済されておらず、さまよっていくんですよ」

河崎 環 フリーライター、コラムニスト

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かわさき たまき / Tamaki Kawasaki

1973年京都生まれ、神奈川県育ち。桜蔭高校から親の転勤で大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部卒。欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、テレビ・ラジオなどで執筆・出演多数。多岐にわたる分野での記事・コラム執筆をつづけている。子どもは、長女、長男の2人。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)。

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