宮城・気仙沼に見る震災復興の矛盾 盛り土かさ上げ、防潮堤建設が巻き起こす不安

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「市による土地買い取りを」と訴える小野道子さん

復興の遅れは、被災した住民の生活にも深刻な影響を及ぼしている。内ノ脇2丁目にあった自宅や貸しアパートなどすべての不動産を失った小野道子さん(68)は、「市による土地の買い取りが進まなければ生活が成り立たなくなる」と語る。小野さんの自宅があった地域は市の計画では「防災緑地」に位置づけられているが、いつ整備が始まるのかがはっきりしていない。

見通しがはっきりしない土地買い取り

前出の村上課長は住民向けの説明会で「コンサルティング会社に業務を発注して計画作りを進めている」と述べた。ただ、それに続けて、「(防災緑地や公園については)国の復興交付金で整備する場合の指針や要件が定まっていない。そのため、どのくらいの規模や内容ならば国の交付金で整備できるか明確になっていない」とも説明した。

不安を抱く住民の質問に対して、菅原茂市長は「希望者の宅地は4月以降、市で買い取っていく」と語ったが、時期は不透明だ。「一刻も早く、安心して生活できるための道筋を示してほしい」と小野さんは訴える。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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