宮城・気仙沼に見る震災復興の矛盾 盛り土かさ上げ、防潮堤建設が巻き起こす不安

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春日さん宅に隣接する藤村治代さん(66)宅も、道路の拡張および盛り土工事の影響を受ける可能性が高い。

天理教の教会を併設した藤村さん宅の玄関前で、津波は止まった。自宅は幸運にも一部損壊にとどまり、震災後も住み続けることができた。ところが、春日さん宅と同様に、道路の拡幅計画に直面。教会の移転を迫られるおそれもあるという。

橋本さんも盛り土カサ上げに困惑

また、内ノ脇1丁目で工務店を営む橋本恒宏さん(45)も、「盛り土カサ上げはやらないでほしいというのが本音」と語る。

2年前の震災当日、橋本さんの自宅兼事務所の玄関まで津波が押し寄せ、大きな被害を受けた。ダンプカーや加工機械も、ほとんどが使用不能になった。

職人不足で建築工事に遅れも

大きな被害を受けた内ノ脇1丁目について、「市の説明では、2.5~3メートルの盛り土が必要だとされている。自分の家だけが盛り土を拒否すると、窪地の中に取り残されることになる。盛り土工事をやる以上はしっかりやってもらうしかない」と橋本さんは複雑な心境を吐露する。

そのうえで、「市が提示する2017年度までに盛り土工事が終了するとは考えにくく、長期にわたって不安を抱えての生活が続く」とも橋本さんは話す。

建設業の橋本さんは、震災復興の遅れを身にしみてわかっている。「職人の確保が難しく、受注した住宅の建築工事がなかなか進まないのが悩み」(橋本さん)という。「いつになれば新たな町並みができあがるのか、想像もつかない」と橋本さんは語る。

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