プロ野球監督も管理職も、評価が雑すぎる! 緻密に評価される選手や現場社員とは大違い

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例えば、選手補強をしなかった状態でリーグ戦に突入。さらにケガで離脱者が続出して成績が最下位でも「この前提条件では最下位でも仕方ないですよね」とは言い訳できない立場。いかなる経緯であっても、結果が芳しくなければ、責任をとって大抵の監督は辞めることになります。

でも、それが適切な評価なのでしょうか?そこで徐々に注目されてきたのが「勝率引き上げ能力」です。一定の基準の中、勝率を引き上げることができるかどうかで監督の評価をしようという発想です。詳しい計算式は割愛しますが、監督の采配でどれだけ「勝利を伸ばせたか」を測ってみようという取り組み。興味がある方は「監督能力とチーム戦力の視点から考えるプロ野球」と題した三菱UFJリサーチの報告書をご参照ください。

ちなみに現在はGMとして批判にさらされていますが、中日監督時代の落合氏は高い勝率引き上げ能力を備えていました。落合氏の監督時代、ライバルチームのジャイアンツは強大な戦力を抱え、監督は新たな選手の採用権ももっていました。そうした監督と勝負をして上位になったことは、改めて高い評価をすべきでしょう。あるいは落合氏だけでなく、勝率引き上げ能力ではチーム順位よりも高く評価される監督が過去何名もいました。たとえば、西武の渡辺元監督や阪神の岡田元監督などです。

雑な評価指標に不満をためている人も

さて、こうしたプロ野球監督の勝率引き上げ能力のように、会社の管理職も適切な人事評価がされているでしょうか。

管理職と監督では、与えられる前提条件には違いがあります。例えば、若手社員だけで構成された経験の浅い組織。あるいは一言多いが仕事は出来るベテラン社員ばかりの組織。その組織の業績を管理職のマネジメント力やリーダーシップ力によって、どれくらい向上させたか?そうした点に注目した人事評価項目もあったほうがいいのではないでしょうか。

まさに勝率引き上げ能力のような指標です。管理職になれば人事評価に対して文句をいうべきではない……と雑な評価指標に不満をためている人がいても、封殺している職場があるとも聞きます。取材していても管理職の評価指標は実にあいまい。にもかかわらず、その不満を口にするのはタブーとしているとの話をしてくれた管理職の方が何人もいました。

製造業の営業部門で管理職をしているSさんは、管理職である自分の人事評価に不満をいだいていました。現場の営業職は売り上げや利益などわかりやすい成果に加えて、新規訪問数や提案機会数など行動レベルまで緻密に数値化している評価指標があります。ところが管理職を評価する指標は具体的にはなく、

「頑張りが足りないからB評価です。でも、期待しているよ」

とザックリしたことしか言われません。この現場と管理職に対する評価の緻密さの違いは耐え難い……と感じているようです。頑張った成果がきちんと評価されて報われる、そんな評価指標を会社側は真剣に考えるべきではないでしょうか。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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