ポルシェ「新型パナメーラ」知られざる秘密 スポーツカーとセダンは融合できるか
ちなみに、日本に導入予定はナシと伝えられる4Sディーゼルに搭載の4リッターV8ユニットは、「グループ内のサプライヤーから供給を受け、手を加えた」というのが公式コメント。ポルシェ自身がディーゼルユニットの開発を行うことはない、というのは、従来から一貫した姿勢である。
従来型では4S用が3リッターV6、ターボ用が4.8リッターV8のツインターボ付きだったから、共に排気量はダウンの計算。だがそれだけではなく、ターボユニットをバンク内配置としたり、燃料噴射圧を高めた上でインジェクターをセンター配置にしたりと、あらゆる点に改良の手を加え、「高効率で運転出来る領域を大幅に広げている」というのが大きな特徴だ。
組み合わせるトランスミッションは、従来型の7段仕様に対してカバーレシオを広げつつ、小さなステップ比を実現させた「最高速は6段で発揮」と紹介される8段PDK(デュアルクラッチ式)。“純粋なスポーツカー”であるパナメーラの性格を考えると、「PDK以外の選択肢は考えられなかった」とする。
新型パナメーラの“走りの胆”
“新しい骨格”に組み込まれるシャシーも、もちろんすべてが新しい。中でもハイライトと紹介出来るのは、ターボグレードに標準採用される、3チャンバー式エアサスペンションだ。4リッターという大容量のエアを3つの部屋に分割。ドライビングモードによってスプリングとダンピングレートを制御して様々な走りのキャラクターを実現させるこのアイテムが、新型パナメーラの“走りの胆”となるひとつの要素であることは間違いなさそうだ。
ニュルブルクリンク旧コースを7分38秒で走り切る、という驚愕のフレーズも、パナメーラには初設定のリアのアクティブ・ステアリングシステムなどと共に、このアイテムによるところがかなり大きそう。
事実、前述のごとくテストドライバーの手による、“走りのオプション”をフル装備したターボグレードは、誰がどう解釈をしても「ピュアなスポーツカーそのもの」と言うしかない、凄まじいポテンシャルを味わわせてくれた。
4WDモデルゆえ、トラクション能力に長けるのはもちろんとして、そのハンドリングの自在度が「フルサイズのセダンのそれとは到底思えない高さ」であることは、そのドライビングを傍から観察しているだけでもすぐに理解出来た。
一方で、走行モードをコンフォートすると、一転して優雅な高級セダンそのものの乗り味に変化するのも見事。そこには、前述大容量のエアチャンバーによる効果が表れていることを連想させる。
ピュアなスポーツカーとラグジュアリーなセダンの融合──新型パナメーラでのそのレベルは、とてつもない高みにありそうだ。試乗レポートについては追って報告したい。
(文・河村康彦)
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