がんを乗り越えた45歳経営者が伝えたいこと 病院のコネは必要?治療費はいくらかかる?

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根拠のない「大丈夫!」「きっと治るよ!」というような言葉は、患者の耳には空虚に響くので避けたほうがよいと思います。応援してくれることはうれしいのですが、「そんなこと言われても、半分以上の確率で5年以内に死んでしまうんだよな……」などと現実的な予後を考えてしまいます。

「がんばれ!」もあまり適切ではありません。患者はすでに精神的にも肉体的にもがんばっているはずだからです。

「神様がくれた時間だと思ってのんびりしてください」という言葉もたまに聞かれますが、患者の状態によってはあまり適切ではないことがあります。抗がん剤の副作用や痛みなどに苦しんで、とてものんびりするどころではない、という場合もあるからです。

お見舞いに足を運ぶだけで十分

『治るという前提でがんになった』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

ではどんな言葉が適切なのか。

私は、どんな言葉もいらないのではないかと思います。お見舞いに足を運ぶだけで、患者は自分のことを気にかけてくれたことを喜んでいるものです。

そして話題は、共通の昔話でも、自分の近況でも、何でもいいと思います。入院中だから、病院だからということは置いておいて、普通にカフェや飲み屋で久しぶりに会ったときのように、とりとめのない昔話や近況報告に花を咲かせればいいと思います。

いろいろ言わずに、患者に寄り添うだけでいい、ということなのかもしれません。

9月8日に上梓した『治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ』では、病に立ち向かい、克服するための患者の知恵をまとめてあります。みなさまの参考にしていただければ幸いです。

高山 知朗 オーシャンブリッジ代表取締役会長

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たかやま のりあき / Noriaki Takayama

1971年、長野県伊那市生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループにて各種コンサルティングプロジェクトに従事。その後ウェブ関連ベンチャーを経て、2001年、株式会社オーシャンブリッジを設立し、代表取締役社長に就任。現在、同社代表取締役会長。海外のソフトウエアやクラウドサービスを発掘してローカライズ(日本語化)し、日本企業向けに販売する事業を展開。2011年7月に悪性脳腫瘍(グリオーマ)摘出手術を受ける。2013年5月には白血病・悪性リンパ腫を発症し、7ヶ月間の入院による抗がん剤治療を経て、現在維持療法中。2度のがん闘病の記録をつぶさにつづったブログは、がん患者とその家族から「勇気と希望がわいた」「冷静で客観的な文章で分かりやすい」と反響が大きく、全国の医師からのアクセスも多い。著書に『治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ』(幻冬舎)がある。

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