競合SNSが焦る、「スナップチャット」の猛威 フェイスブック陣営に迫る、お化けSNS

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スナップチャットの人気は、ライバルにも大きなインパクトを与えている。

ツイッターは6月、アプリ内で、自撮りの顔に動物のマスクなど多様な画像を重ねて加工できる、「ステッカー機能」を搭載。ほかのアプリに頼らず、装飾を施した写真をアップできるようにした。

LINEの「エッグ」はモデルの三戸なつめさんの前髪を体験できるフィルターを提供

フェイスブックも8月、インスタグラムに「ストーリーズ機能」を設けた。これはスナップチャットと酷似したもので、画像や動画をスライドショーとして投稿し、24時間で消える機能だ。

豊富な画像加工機能を備えた類似サービスも続々と生まれている。メッセージアプリを展開するLINEの親会社である韓国ネイバーは、2015年10月にグループ会社で「スノー」を始めている。その人気から、LINEも今年5月に「エッグ」をリリースした。両サービスとも日本のアプリストアで、ランキング上位に食い込んでいる。

ライバルに対する優位性は変わらない?

とはいえ、ライバルがいくら機能面での競争を繰り広げたとしても、スナップチャットの絶対的な優位性、すなわちユーザーの多くが若年層である、という属性を切り崩すことは容易ではない。

スナップチャットユーザーへのアンケートによると、「親が使っていないから使っている」と答える人が3割。つまり、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどほかのSNSは親世代も利用しているが、スナップチャットの場合は、若い世代だけが使っている、という感覚があるようだ。

いずれ、こうした“スナップチャット世代”が年齢を重ねれば、フェイスブックとは異なるSNSを住処(すみか)とする世代が世に出ることになる。米国の企業や官公庁がスナップチャットに積極的な姿勢を見せているのは、10年後にまさに彼や彼女らと会話を成立させるためなのだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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