ロードスターとアバルト124は何が違うのか

マツダとフィアット、似て非なるオープン

見た目は、好き嫌いの範疇だ。モダニティの感じられるマツダ版に比べて、アバルト版はよりクラシックな装いに見える。それもそのはず、名前の示すとおり、アバルト(フィアット)版は往年の名車“フィアット124スパイダー”のオーマージュデザインである。

インテリアデザインは基本的に同じ。マテリアル質感の違いで、パーシブドクォリティはアバルト版が優っていると思う。撮影車両にはオプションのレカロシートが備わっていたが、標準仕様のマツダ製シートよりも座り心地は上々だった。

乗り味には違いあり

街中を転がすような場面における乗り味には、価格差だけの違いがあったように思えた。アバルト版の方が、ライドフィールも洗練されている。落ち着きがあり、密度が高い。すべて手応えがしっとりとしている、のだ。ロードスターより、価格のぶんだけ高級である。

逆に言うと、アバルトのエンブレムを付けたモデルの割には、加速やステアリング操作に“荒々しさ”がない。特に、+100Nmのトルクを味わおうと、思い切り右足を踏み込んでみても、期待したほどのモーレツな加速をみせてはくれない。そのあたり、アバルトというブランドのキャラクターに合ってない、というか、キャラの方向性を変えてきたのかも知れない、とさえ思った。

もっとも、そんなことは、フィアット 500やフィアット プントのアバルト版を知っているからこそ言えることで、知らない人(けれどもマツダ版には乗ったことのある人)にとっては、やっぱり、マツダ ロードスターのハイパワー仕様、という乗り味に思えるはず。恐らく、アメリカ仕様と、どっこいどっこいのパフォーマンスだから、全体的なまとまりとしても問題ないレベルに落ち着いているのだろう。

アクセルを踏み込んで、ククッと前に広がる空気を裂いて加速する感覚は、マツダ ロードスターにはないものだ。重量差があるものの、車体のバランスが狂っているようには思われず、フィアット開発チームの苦心の跡が伺える。

ハンドリングも、とにかく軽快な手応えに終始したマツダ版とは違って、スポーティさを強調し過ぎず、かといって重々しくはなく、ちょうど“いい線”を突いてきた。もちろん、そこからのスポーツカーパフォーマンスには、まったくもって、文句はない。

スタイルの話は別にして、どちらを選ぶべきか。ライトウェイトスポーツカーの真髄を味わいたい、というなら、迷うことなくマツダロードスターだ。けれども、上等なスポーツカー性能を担保しつつ、街乗りから高速道路まで快適なツーリングも楽しみたいというのであれば、アバルト124スパイダーも検討されるといいだろう。

(文・西川淳、写真・河野マルオ)

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