金井さんの仕事は、海外89カ国と地域で展開する「SHISEIDO」ブランドのデジタルマーケティングだ。つまりは、インターネットを介して「SHISEIDO」ブランドをどう伝えるかを、戦略的に考えるのが役割だと言う。
具体的には、海外法人がそれぞれに展開するフェイスブックやツイッター、写真サイトなどに、本社として伝えてほしい指針を与えたり、題材を提供したりする。
特にフェイスブックやツイッターのような口語のパワーを全開させた媒体は饒舌になりがちなため、書き手のパーソナリティを指導したりもする。
「SHISEIDO」ブランドのマナーに合わない記述が見つかれば、現地スタッフにブランドの根幹を改めて教育する。
ブランドエクイティ(ブランドの持つ資産価値)を上げるのがミッションだから数字の責任は負わないが、だからこその苦労もある。
「数字だけで評価されるなら、達成すれば『達成したんだから、いいじゃん』と言い切れるが、そうではないだけに、仕事がエンドレスになりかねないのですよね」
”異分子”としての苦労
転職してきた直後は、中途採用者特有の失意に打ちのめされたこともある。資生堂はいわゆる「いい会社」なだけに人が辞めない。だから、転職者は少ない。“異分子”の金井さんは、資生堂一筋の社員との仕事のやり方の違いで、衝突することもあった。
「私の仕事の進め方が不快だったんでしょうね。ズシリと来る一言を言われて、本当に落ち込みました」
ところが、思わぬところから味方が現れた。
「隣の部の上役が、『一晩で読めますから、読んでみてください』とメモを残して、この本を席に置いておいてくれたのです」
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