それは資生堂名誉会長・福原義春氏による『私は変わった 変わるように 努力したのだ』という本だった。
幸せと不幸せは必ず二人組でやって来る。
大きな幸せが小さな不幸せを運んでくれる場合と
小さな幸せが大きな不幸せを連れてくる場合がある。
どっちになるかはわからないが、
必ず一緒に来るということだけは肝に銘じておこう。
幸運に恵まれても有頂天になってはいけない。
不運に遭遇しても決して落胆することもない。
「この一節を読んで、すごく励まされました。それと同時に、直属の部下でもないのに、落ち込んでいる人がいたら、目配りする余裕のある上司がいる会社ってすごいなと。よくよく考えれば、いくらスピードが命のデジタルの仕事をしているからって、私は人の話を聞く余裕を失っていたなと思いましたね」
寝かせておけば、なくなってくれる仕事もある
直属の上司にも、ハッとするようなことを言われた。「僕をうまく活用してね」と。
当初はなんでも1人でやろうとして、空回りすることもあった。だが、場合によっては素直に上司を頼ったほうがいいことを知ってからは、仕事ががぜん上手くいくようになった。
「社歴の浅い私はまだ、資生堂社員の暗黙のルールを知らないし、この話はどこに持って行ったらいいか、どう交渉すべきかも、完全には理解していません。片や、上司は社歴も長く、経営の中枢とのかかわりも深いから、私にはとてもできないやりとりもできる。上司に頼めば物事がスムーズにいくことが多いし、勉強にもなります」
膨大な仕事量をこなすうえでは、MBAを取得後に勤めた米国のスポーツブランド企業で学んだ教訓が生きている。
「『仕事は必ず両手から溢れる。だから手の平に何を残すか見極めろ』と。確かに、放っておけば、そのうちなくなる仕事って、結構あるんです」
放っておけばなくなる仕事とは寡聞にして知らないが、例えばこういうことだ。
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