「無理めの目標に挑む」時期は絶対に必要だ スキルとメンタルを同時に向上させる方法

拡大
縮小

つまり、スキルがメンタルつまりは心を引き上げ、引き上げられた心がまたスキルを引き上げる。この相互作用が成長の近道なのです。体と心を同時に鍛える意味は、ここにあります。

心が強ければ、最後まであきらめない

書影をクリックするとアマゾンの販売ページにジャンプします

オリンピックでは、世界トップクラスの選手と戦っているのですから、技やスキルではほとんど差はつきません。では、どこで差がつくか。それは、最後の最後まで戦う気力と体力です。いわば、心と体の“スタミナ”です。

試合終了間際で逆転勝利をした伊調と登坂は、このスタミナが十分にありました。試合を見ていても、残り数十秒でもほとんど息があがっておらず、戦う気力は試合開始時と変わりませんでした。

相手にリードされていても、残り時間が少なくなっても、私は絶対に勝つと思っていました。表情と姿勢を見れば、あきらめていないことは一目瞭然。むしろ、攻撃する気迫に満ちていました。

ビジネスにおいても“スタミナ”は重要です。初めからすべてうまくいくことなんてありません。途中で失敗してがっかりしたり、他人から否定されて落ち込んだり。うまくいかないことのほうが多いくらいです。

でも、「まだまだいける」「絶対にうまくいく」と思って体勢を立て直せるのは、がむしゃらな努力によって身に付いた絶対的なスキルと心の強さ、つまりは“スタミナ”なのです。

スタミナがあれば、あきらめの気持ちは生まれません。どんなに追い込まれても、次の一手を考えて実行することができます。「あきらめない心」で、ビジネスでも“常勝”を引き寄せましょう。 

栄 和人 日本レスリング協会強化委員長(監督)/至学館大学レスリング部監督

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さかえ かずひと

レスリング選手として現役時代に全日本選手権は6度優勝、世界選手権は出場した5大会すべてで5位以内に入賞。
指導者として中京女子大学(現至学館大、至学館高校)において、吉田沙保里、伊調馨などを育てた実績が評価され、日本代表監督も兼務。以後、オリンピックと世界選手権で多数のメダリストを育てている。
2016年のリオオリンピックでは、女子レスリング日本代表の全6選手が至学館大学レスリング部出身という快挙を達成し、オリンピックでも4つの金メダル(登坂絵莉、伊調馨、川井梨紗子、土性沙羅)、1つの銀メダル(吉田沙保里)を獲得した。
著書に『"最強"の結果を生み出す「負けない心」の作り方』(KADOKAWA)がある。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT